第9話

考えたくねえこと
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2017/12/19 12:12
目の前の彼女は、目を細めて、少し冷たくオレを見る。
あなた

どういうことですか?『好都合』って

牙河羅
牙河羅
あ、えっと、その…
…死んだ。今迄こんなに、危機を感じたことは無い。そんな具合だ。
嫌な汗が出てきて、口もはっきりと動いてくれない。
オレはしどろもどろになりながらも、言い訳を考えた。
牙河羅
牙河羅
いや、お前がいなかったらずっと寝てたかもしれねぇし、ほら、波も大きくなってきただろ?もしかしたら、波かぶってたかもしれねぇし…
あなた

ふぅん?

牙河羅
牙河羅
えっ、と…その……
嘘が通じないのか、彼女は体を前に曲げて、下からオレを見上げてきた。彼女の目は全てを見透すような目で、オレは視線を合わせることができなかった。
彼女はじわじわと迫ってくる。オレは構えていた手を前にやり、後ずさりしてしまった。
あなた

数日前から毎日ここに来たりして。…何か隠してるなら、言ってください

牙河羅
牙河羅
そ、それは、その、悪かった
あなた

私は、謝って欲しいんじゃないんです

牙河羅
牙河羅
うっ…
後進していくうちに、左足が海水に触れた。
バシャッと音が聞こえて、彼女の歩みも止まる。ただ止まるのはオレの方が早く、目の前に彼女の顔があった。
牙河羅
牙河羅
ちょっ、近い…
いつもなら、女の顔が近かろうが、意識は全くしない。なのに今は、不思議と顔が熱い。
なぜかオロオロするオレに、彼女は更に近づいた。
あなた

言ってください。気になって、楽になりたくてもなれません

牙河羅
牙河羅
…あ?楽になる?
あなた

やばっ…

彼女は顔を青くして、両手で口を覆った。
少し下を向いた彼女を見て、瞬間的に、昼間の虎愛との会話を思い出した。

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