あなたの後ろをぴったりと歩いて来たが、目的地に着いた途端、入口で絶句した。
聞き覚えのある音楽。よく見る顔。近くには、よく使う駅まである。
オレが来たのは、しょっちゅう来てるゲーセンだった。あなたはここがお気に入りなんて言ってたが、まさか同じだったとは…。
彼女に手を引かれ、中に入る。冷房が効きすぎて、頭が痛くなった。この感覚もしょっちゅう味わう。
あなたが指さしたのは、オレがここへ来たら絶対やる、あのゾンビシューター。こいつがそんなのやるとは…。
反応の仕方が別の意味で取られそうだが、あなたは首を少し傾げ、オレの腕を引っ張った。
幕をくぐって、銃を持つ。さっきまでの邪魔な感情は、それで一気に吹っ飛んだ。
''Ready…Go''
得点を見て、俺は呆気に取られた。声も出ない。
隣では「新記録だー!」と喜ぶあなた。そして、映し出されたランキングの一番上に、彼女の得点が入れられた。
こんな殺戮系ゲームのチャンピオンが、まさか自分の彼女とは…想像もつかなかったが、実際に対決すると、腕は確かなのがわかった。
自殺希望者──とはまだ決まってないが、そんなやつがこれを…。
その後、オレらは何回か勝負をした。しかし、オレは一度も勝てなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。