第17話

夏の浴衣
640
2019/03/30 04:04
時は進んで夏休み。暑すぎる日が続くくせにムシムシするこの地域は、毎年毎年腹が立つ。
が、今年の夏はそうでもなさそうだ。
あなた

かがらー

牙河羅
牙河羅
ん?おお、やっと来たか
人混みは嫌いだから家にでも迎えに行こうとしたが、あなたに断られた。理由は知らんが何か隠すように…って、浮気か?
今思うとかなり不安ではある。が、今声がしたつてことは来てはくれたってことだ。正直安心してる。
声の聞こえた方へ、俺は足を進めた。
牙河羅
牙河羅
……やっぱ浴衣で来ればよかったか?
あなた

別にいいんじゃない?私服でも、楽でよさそう

牙河羅
牙河羅
うわぁっ!?って、またいきなりきやがっ……てって
あなた

ん?

横にはいつの間にかあなたがいた。ただいつもと違って、なんつうか…
あなた

どうしたの?固まっちゃって

牙河羅
牙河羅
いや、ビックリして…
あなた

……そんなに驚く?いきなり声かけるの。わかった、嫌ならやめ

牙河羅
牙河羅
別にっ!!嫌ってわけじゃ、なくてだなぁ…
あなた

じゃあして欲しいんだ

牙河羅
牙河羅
ちげぇよ!ただお前が綺麗だから…
あなた

え……

牙河羅
牙河羅
あ……
言ってしまった…案の定、あなたは固まってる。
牙河羅
牙河羅
えっと、さっきのは…あの……
あなた

…はぁ。そういうとこ

牙河羅
牙河羅
……?
あなた

そういう素直すぎるとこが、牙河羅の可愛いとこだよね。すぐ顔に出るし。……まあ、そこが好きだけど

牙河羅
牙河羅
あ、え…可愛い?俺が?
あなた

……あーもー!はやく行こ!

牙河羅
牙河羅
っておい、ちょっと待てって!
普通なら怒る、可愛いってワードが俺に会うわけねぇし。てか、あなたに言われるのが一番嫌だ。
でも…
牙河羅
牙河羅
…あなた
あなた

な、なによ

牙河羅
牙河羅
可愛いのはお前の方だろ、どう考えても
あなた

なっ…!

先に歩いてった腕を掴んで言った俺の言葉に、あなたは面食らったのか耳まで赤くなってた。
牙河羅
牙河羅
すぐ顔に出るのは、案外俺だけじゃねぇな
あなた

わ、笑いながら言うな!

牙河羅
牙河羅
真っ赤っかのあなたチャンww
あなた

やめてよ!もう!

牙河羅
牙河羅
ハイハイ、スミマセンデシター
浜であった時より、あなたの顔は明るくなってきてる気がする。打ち解けてもくれてる。
それがただ、今は嬉しい。
牙河羅
牙河羅
…よし!場所取り行くぞ!
あなた

ちょ、そんないきなり!置いてかないでよ!

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