私が太陽を好きになれば。先生を諦めれば。
誰も悲しまない。みんなが幸せになれる。
だったら私は_
「あ。あなた。もう下校時間過ぎてんぞ。」
今1番会いたくないのに。なんでこういう時に先生に会っちゃうんだろう。
『帰ります、さようなら。』
「ちょっ...と待て。」
『いやっ...!離して!』
あっ....。
「瀬戸と何話してたんだ。」
『なんで私が太陽と話してたこと知ってんの?』
「授業中に約束してたろ。だから。」
『そうですか。』
なんか。泣きそう。変になりそう。
「質問答えろって...」
『先生には関係ないじゃん!!!』
「えっ...」
『先生がもう近づくなって言ったんですよね?だから私無理して距離あけて。悩んで。なのになんで...』
「あなた...」
『私。太陽のこと好きになりますから。先生のことなんて好きじゃなくなりますから_!』
言ってやった。いや違う。言ってしまった。
ザーザーと降る雨の中、私は傘もささず走って帰って行った。
濡れれば泣いてるのバレない。
雨の音で、
この胸のざわざわなんか聞こえなくなるように__
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!