第96話

会いたい
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2019/03/03 09:46
あぁ、やっちゃった。


涙が溢れて止まらなかった。


色々なことが頭の中を駆け巡り、ぐちゃぐちゃだった。


ふと気づくと、自分がどこにいるのかさえ分からなくなっていた。
あなた

ここどこ………
あぁ、もうやだ。

とにかく先生に会いたくて、スマホを取り出す。


でも、画面を見て、苦笑した。


少し、期待してた。


お母さんとお父さんから、着信が来てないかなって。


でも、スマホの画面はいつも通り。


先生に電話をかけ、数コールで出てくれた。
先生
あなた?

先生の声で、一気に安心した。
あなた

先生…


私の声で、なにがあったのか気づいてくれた。
先生
今どこだ?
あなた

わかんない…

先生
住所調べて、俺に送れ。
すぐ行くから待ってろ。
あなた

うん、

私は、すぐに今いる場所を送った。


その後、少しして、また先生から電話がかかってきた。
先生
んーと、20分くらいで着くと思う。
なんでそんなところにいるんだ?……ってことは、とりあえず会ってから聞くから。
着くまで電話は繋いでおけ。
あなた

わかった。先生ごめんね。
風邪引いてるのに…

先生
そんなこと気にしなくていい。
もう熱も下がった。
あなた

本当に?

先生
あぁ。
明日は行くよ。
あなた

そっか、よかった。


そう言い、二人とも黙り込んでしまった。


今あったことを言いたいけど、できたら直接聞いて欲しい。


お母さんたち、心配してるかな?


そんなことを考えながら、邪魔にならないように待っていた。
先生
さな、今どこだ?
あなた

さっき送った場所から動いてないよ、


私は、あたりを見回す。


あ、いた。


先生の姿はすぐに見つけられる。
あなた

先生、見つけた。

先生
え、俺見つけられてねーよ。
あなた

じゃあ、今すぐ抱きつきたいけど、先生に見つけて欲しいから待ってる。


そう言った瞬間、先生がこちらを向いた。


そして、目が合う。
あなた

あ、見つかっちゃった。

先生
お前、その服…
あなた

あぁ、これ?
おじいちゃんからもらったんだ。
可愛いでしょ?

私たちは、電話をしながら近づいていく。


足が痛いな。


流石に走りすぎた。


でも、もう車だし!


私はそう思い、先生に駆け寄って抱きついた。


あぁ、好きだ。


そう思った瞬間、いろんな感情が混ざって、一気に涙が溢れる。


先生は何も言わずに抱きしめていてくれた。

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