第92話

家にて
3,111
2018/10/07 10:08
あなた

ただいまー


私がそう言っても、家の中から返事はなかった。


いても、いなくても変わらないか。


そう思いながら、自分の部屋に行った。


いつ家を出るんだろう。でも早めに準備しておかないと。


私は、とりあえずお風呂に入ることにした。


お風呂から出たあと、髪の毛を乾かして、セットした。


今日はなにを着ようかな。


私はクローゼットを開けて、服をみる。


そのほとんどが、おじいちゃんがくれる洋服だ。


おじいちゃんは、デザイナーで結構有名な人らしい。


私がクローゼットから取り出したのは、真っ赤なワンピース。


スカートの部分がフィッシュテールになっていて、動くたび、フワッと揺れる。


胸元にはレースがあしらわれていて、とても綺麗だ。


おじいちゃんが作ってくれる洋服はどれもお気に入りで、ワンピースやドレスだけではなく、


靴や、バッグ、アクセサリーなのデザインもしているらしい。


正直なところ、おじいちゃんとはあまり会っていないし、


最後にあったのは確か、小学校高学年だったはず。


なのに、いつも送られてくる洋服はどれもサイズが合っていて、不思議だ。
お母さん
あなたー?帰ってきてるのー?
あなた

はーい?


さっき、ただいまってちゃんと言ったのに。
お母さん
あと30分くらいで家を出るから。
あなた

わかったー

私は部屋から大きな声で返事をした。


それから、簡単にメイクを済ませ、カバンや靴も準備した。


あぁ、この姿を先生に見せたい!


少しは可愛く見えるはず。


あとで写真を撮って送ろうかな。


そんなことを考えながら、残りの準備を済ませた。

プリ小説オーディオドラマ