第34話

ごめんね。
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2018/03/13 13:11
走って、走って、走った。



家を出てから、自分のカバンを持っていないことに気づく。



嘘、家に帰れないじゃん。

先生
あなた!
えっ…!



私はとっさに振り向く。



は、早くない!?



私はまた走る。
先生
ちょっと待てよ!
あなた

ぬ、盗み聞きしてごめんなさい!

走りながらいう。
先生
話聞け!
あなた

ごめんなさい!
なんか、今は無理です!

先生
なんでだよ!
あなた

私が、嫉妬しすぎる!
思ってもないこと言っちゃい…

あっ、うそ…



道路を渡ろうとした時、横から車が来ていた。



間に合わない…



その時、腕を掴まれて、後ろに引かれる。
あなた

せ、先生…

先生
馬鹿野郎っ!
何やってんだよ!あぶねーだろが!
あなた

ご、ごめんなさい…。

先生
ったく…
重い空気が2人の間に流れる。
あなた

……もうやだ。

先生は、何も言わずに、私の方を見た。
あなた

やだ、やだよ!

先生
何が。
先生は、さっきと打って変わり、優しく言った。
あなた

もう全部いや!



自然と涙が溢れる。

あなた

正直、莉世さんが先生の家にいるのもいや!
ななちゃんを見る目が優しかったり、
それに、もし、莉世さんが離婚したとして、
先生とまた結婚して欲しいって言うかもしれない!
本当に!自分でも嫌になるくらい、どうしたらいいかわからないの!


私は、泣き叫ぶ。



心の何処かに貯めてあった、本当の気持ちを。

あなた

でも!
それより、なにより、一番嫌なのは!!
私がこんな風に思っちゃうことで!!



ごめん、ごめんね先生。



私は、ゆっくり立ち上がった。



そして、歩き出す。



でも、先生は、私の腕を掴んだ。
先生
待て。
あなた

やめて、離して。

先生
俺たちもちゃんと話そう。

うん、話したい。



先生の気持ちも聞きたい。



けど、ごめん。



今の私には、そんな余裕がないの。

あなた

……今は、先生と居たくない。


すると、一瞬、先生の掴む手が緩む。



その隙に私は走り出す。



私の腕が先生の腕から、するりと抜け落ちた。
 
ーひとことー

あー!!先生ーっ!!!

なんか、悲しいなぁ。

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