第64話

好き
3,574
2018/04/03 02:00
先生
あなた。

名前を呼ばれた瞬間、私は先生の胸に飛び込んだ。
あなた

せんっ…せい……


抱きつきながら、思い切り泣いた。



本当は、悲しかった。寂しかった。離れたくなかった。



先生が大好きだった。愛してた。



ううん、今も大好きだし、愛してる。



先生の温もりが、体が、全て愛おしい。

あなた

先生、好き。
大好き。

先生
あぁ、俺も。
先生は、私を抱きしめ返す。
先生
このままでいいから聞いてくれるか?
私は頷く。
先生
結局莉世は、離婚しないことになった。
旦那とかなり話したらしい。
そっか、良かった。


でも、それなら先生遅すぎ。


それが決まった瞬間にでも私のとこ来て欲しいかったのに。
あなた

なんだ、じゃあ、もっと早く迎えにきてよ。

先生
ごめん、
……踏切がつかなくて。
あなた

ふーん、まぁ、いいか。

先生
それと……お前の友達。みんないい奴すぎ。
あなた

ふふっ、でしょ?
なに?千紗にも何か言われたの?

先生
言われた。
あなた

なんて?

先生
いい加減にしろ。チンタラしてんな。他の男にとられても良いのか。とか、
あとは、お前の気持ち。
あなた

私の?

先生
あぁ、さすが小林だな。
あなた

そっか。
じゃあ、あとで千紗にもお礼を言わないと。

先生
そうだな。

その後、しばらく2人で海を眺めて帰ることにした。
先生
ほら。
先生はヘルメットを私の方に向かって投げてきた。
あなた

わっ、危ない!
え、ってか、先生バイク乗るの!?

先生
乗る、言ってなかったか?
あなた

言ってない!


えっ、てか、カッコいいんだけど……
先生
ほら、早くかぶれ。
先生は、私が持っていたヘルメットを取り、私に被せた。
先生
おぉ、ぶかぶかだな。
まぁ、いいか。行くぞ。
あなた

はぁーい。

先生はエンジンをふかした。
先生
今日、親は?
あなた

居ないよ。
来週2人とも帰ってくる予定。

先生
じゃあ、俺ん家でいいか?
あなた

うん!

私はバイクにまたがる。
あなた

ねぇ、先生。
私が居ない時、寂しかった??

バイクのエンジン音に負けないように言う。
先生
あぁ、とても。

うわ、やばい……

先生
ほら、しっかりつかまっとけ。
あなた

はーい

私は、先生を後ろから抱きしめるようにした。
先生
行くぞ。

あぁー、また泣きそう。



数時間前まで、陸と一緒にいて、こんなことになるなんて思いもしなかった。



でも今は、先生がここにいる。



そして…今までの出来事が頭の中をよぎる。



あぁ、長かったな……



ー先生目線ー



しばらくバイクを走らせていると、後ろであなたが肩を震わせていた。



何かあったのかと思い、考えた。



そうか……泣いているのか。



これだけあなたを苦しめさせ、悲しませたのは…俺だ。





あなた、ごめんな。






………でも、好きだ。






愛してる。





もう、悲しませたりしないから。





ずっと…俺のそばにいて………

プリ小説オーディオドラマ