2日後、今度は柚稀が凌久に呼ばれていた。
今回は倉科君達がいる前で。
そう言って、凌久が千棘が読んでいた週刊誌を取ると、ページを捲って柚稀に見せた。
大きな字で書かれていたのは…
「天才役者、漣悠翔。熱愛発覚!?」
柚稀がマジマジと記事を見つめると、本気で驚いている表情を浮かべた。
そう呟いたとき、廊下からバタバタと音が聞こえ…
週刊誌を手にした悠翔君が理解不能と言いたそうな顔をして、廊下から大声で言う。
何か思い出したように倉科君がそう口にする。
その言葉にクラスが静まった。
すると、今度は…
薄く大きめの本みたいな物を悠翔君が柚稀に渡す。
珍しい少し怒り気味の柚稀の声に悠翔は無言で言われた通りにスマホを渡す。
柚稀はスマホを操作するとスグに悠翔君に返す。
そう言い、悠翔君はいなくなった。
すると、沙羅が…
自分の姉を育ててもらっている人をクソジジイ呼ばりされるのが嫌だったのか怒ったような表情を浮かべている沙羅。
柚稀は呆れた顔で…
手に持った『銀河鉄道の夜』の台本を机に投げて、柚稀は自分の椅子に座る。
マジか……。
まさか、柚稀があの漣和久さんの子供って…
空閑瑞稀さんという名前を聞いた瞬間、クラスの大半の人が何となく察した。
柚稀が凄い不機嫌そうな表情で榎本を見る。
榎本はつまらないものを見たような顔で…
すると、いつの間にか怜央が横にいた。
柚稀の名字は"空閑"で、母親の名字だ。
そして、異常に父親の漣和久さんを嫌っている。
有名人の妹の沙羅みたいに有名人の姉だって言って胸を張ることだって出来る。
なんなら、それでトップになることも出来る。
でも、柚稀はそれをしない。
ましてや、漣和久さんや悠翔君との関係をバレないように隠そうとしていた。
親のことを"クソジジイ"や"アイツ"って呼んでいるところもかなり気になる。
と、なると、柚稀は漣和久ともめているってことになるよね…。
本気でイラついている柚稀。
なんて声をかけたらいいのか分からなそうな倉科君達がいると、教室のドアが開き…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。