私はさっきと同様に少しだけ後ろを向く。
でも、そこにいたのは私が想像していなかった人。
……。
2人共、いきなりごめん…。
別にいいけど…
用ってどうしたの?
クラスで5軍の園崎柊真。
そして、4軍の蓬田聡と久本莉緒菜。
私が知る中だと、かなり珍しい組み合わせだった。
3人はあまり関わりのないように見えるからだ。
あのさ……2人にお願いがある。
何?
あの榎本凌久を落とすのを手伝ってほしい。
榎本を?何で?
僕、知ってんだ…。蒼の死に関わっていたのは矢野じゃないって。
どういうこと?
矢野を動かしていたのは榎本だ。武力による脅しに蒼を楪達とは別にいじめるように指示していた。
嘘…。そんなことが……。
アイツは悪魔だ。力で全てを制しているなんて間違っている。
まぁ、それは分かるけど…。
お前は瀬山が好きだったもんな。
柊真の意見に正義感が強い莉緒菜は肯定の返事をして、聡は思いを寄せていたから憎むと言う。
だから、お願い…。
聡、どうする?
どっちでも、元から榎本は嫌いだし。
じゃあ、いいよ。
ほんと!?ありがとう!!
…と言っても、どうするわけ?
僕も何かないか探すけど…今度、燎君に話してみようと思う。
…あの人、いつも緩いけど本当にダメだと思ったことははっきりと意見言うからいいかも。でもさ、それで燎君が榎本の敵になったら?女子も武力の榎本には引いてるし…
あ、確かに。どうしよう…。
別に問題なくね?
だって、殴られるかもよ?
お前ら、知らないの?燎のこと。
どういうこと?
燎に反抗して、それがバレたらとんでもないことになるぞ。それに学校に燎の護衛係がいるって噂だし。
嘘、燎君って何者…。
まぁ、別に知らなくていいことだよ。榎本が燎に手を出したら、確実に護衛係か燎の親が動く。
なら、大丈夫かな…。
ああ、気にしなくていいよ。
それじゃあ、2人共、お願いね!僕は蒼の家に行って、どんな様子だったかを聞いてくるよ!
机にお金を置く音がして、柊真の声が遠くなる。
……何か柊真さ。いつもに比べて気合が入ってるね。
瀬山だからだろ。
でも、本当にそんなことしていいのかって考えちゃうな。
良くはないと思う。それは言わなくてもきっと柊真も分かってるよ。分かった上で言うなら協力する。
そっか。じゃあ、頑張ろうね。
2人が席を立つ音がして、店員さんの「ありがとうございました」と言う声が聞こえ、私と怜央は2回目の安堵の溜息をついた。
何でこんな…
どうする?今の3人のこと、本人に言ってみる?
いや、言わない方がいいんじゃない?
3人に凌久を落とさせるってこと?
ああ、そっちの方が俺達の苦労も減るからな。別に勝手にやってくれるならそっちの方が有難いだろ。
まぁね。じゃ、そうしよう。
…あ、ちなみにこの後は?誰かを落とすか、俺達が上がるか。
上にいこ。沙羅に気に入られたら、上にいけるからそこで怜央の立場も持ち上げる。
頼んだ。
私達はそうして、別れる。
沙羅には気に入られている。
私は試合でベンチに入れることが出来たから…
きっと、試合で活躍したら琴葉の席に私が座ることが出来るかもしれない。
そしたら、沙月達みたいに内側から……
そう思うと、もうニヤけが止まらなかった…。
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