先生からの話が終わり、班行動の時間。
目的地に向かうため、広く風通りのいい道を歩いているとき、怜央が肩を叩いた。
少しニヤッと笑った表情から、恐らく、下剋上に関する話だろう。
地図を手にした潤が首里城がある方向を指さして、慶士と一緒にどんどん歩いて行く。
私と怜央はその後をついていくように早歩きで追いかける。
めっちゃやる気あるじゃん…。
呆れた表情を浮かべて、「終わってるな。」と怜央が言う。
思わぬ発言に私は大声を上げた。
その声に先を歩いてた潤と慶士が足を止める。
慶士の発言をスルーして、走って2人の元へ。
結局はそのまま、また2人が少し小走りで歩く。
少し潤達との間があいたところで…
柚稀が誰かと付き合うって想像しなかった…
しかも、その相手があの悠翔君だったなんて…
私が見る限り、いつか柚稀は倉科君と繋がりそうな気がしている。これで繋がったらスキャンダルになるからいい情報だ。
琉希は"何回も万引き"ってことはそのうち、また同じことを起こす。
柚稀はまぁ今度、沙羅に聞いてもらえばいい。
となると、琴葉か…
命かけるくらい必死ってことは、親が教育熱心とかかな?1位を取らないといけないなら、落とすためには私も頑張らないといけないし…
………教育熱心なら、かなりの制限があるはず。
そこを利用したら私が勉強しなくてもいける?
例えば…いじめのことを晒す、とか……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。