片付けが終わり、少し暗くなってきた夕方。
帰るために、有咲と正門を出ようとしていた。
私達の前には沙月達が歩いている。
すると…
男子が学校の様子を見て、ガッカリしていた。
何かの練習着を着ていて……バスケかな?
独り言をブツブツと呟き続ける。
さっきの演劇のことがあったからか、めぐみとその後ろにいた沙月が少し反応した。
雅が呼んだのに反応して、男子が柚稀を見る。
そう言うと、男子は柚稀の前に行き、こっちからは見えなかったけど、いつも片目を隠している柚稀の前髪をかきあげた。
パッと慌てて距離を取り、前髪を戻す柚稀。
その顔には焦りの色が見えた。
手を振り、そのまま男子はいなくなった。
前髪で隠れる左目に触れ、ぼそっと呟く。
琉依達がいなくなる。すると、雪奈が…
雪奈がそう言い、4人がいなくなった。
さっきみたいに、異常に左目を隠すのが気になる。
颯斗と名乗った男子も柚稀の前髪の下を見て、柚稀だと確信を持ってた。絶対、あの前髪の下には何かがある。
あと言うとすれば、いつも長袖長ズボン。
今は夏だから誰もが、半袖だし…。
明日、柚稀を尾行すれば何か分かるかもしれない。
でも、雅の方が噂になってるから、確実な方を先に潰した方がいいか…。
そう思い、柚稀の方は見ないことにした。
翌日の終学活後……
琉依と柚稀が教室からいなくなり、雅は荷物をまとめると、教室から出る。
そして、私と有咲は雅の尾行を開始した……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。