沙月のメイド服姿に私は一瞬呼吸が止まった。
琉依からスマホを受け取り、改めて見る。
メイド服を着た沙月が猫のポーズをしている写真。
カメラ目線ばっちりである意味怖い。
スマホのメモ機能に貰った情報を打ち込みながら、返事をする。
打ち終わり顔を上げた時にはもう琉依の姿はなく、柚稀が追加でスイーツを注文していた。
私のいじめについては濁すように呟く。
柚稀は聞こえなかったのか、「いつか思い出せるといいね。」とだけ私に言った。
運ばれたスイーツを食べた柚稀はいつも同様にお金を机に置くと、席を立ち去った。
あんま、ヤンキーって感じじゃないんだけどなぁ…
それはいつも私が柚稀に対して思うことだった。
琉依はヤンキー感があるけど、柚稀はそこまでじゃない。ある意味、ほんわかしてヤンキーと言う名前が似合わないような気もする。
それはさておき、次は沙月。
沙月にやられたことを思い出すだけで、イライラしてきて、いい気分じゃなくなる。
スマホに視線を落とすと、琉依が教えてくれた沙月の裏垢が表示されており、メイド服姿の写真の沙月が猫のポーズで映っている。
さぁて、どんなふうに落としてやろうか……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。