再び、学級委員が黒板に書いていく。
"銀河鉄道の夜"と言えば…
孤独な少年、ジョバンニとジョバンニの親友であるカムパネルラが銀河鉄道に乗り込み、旅をする話。
主役はジョバンニ、そして、主役に近い脇役がカムパネルラと言ったところ。
何で主役が男の作品を女子校でするの…。
真っ先に手を挙げたのは、演劇部の綾。
1年生の頃から先輩を差し置いて主役を演じることで校内でもまぁまぁ有名だ。
もちろん、1軍の綾が言うから誰も出ない。
そのままジョバンニは綾になった。
ジョバンニの次に主役的存在だとされているカムパネルラを同じ1軍の雪奈に勧める。
毎年、文化祭の演劇では2つの部門がある。
1つはさっき学級委員が言ったクラス部門。
もう1つは個人部門。
個人部門は、主役脇役関係なく演技の上手さで投票される。しかし、去年の様子だと主役の方が票はとれる。
きっと、綾はそのことを知っているんだ。
雪奈が言いかけた時に被せるようにして手を挙げたのは…
サボり魔で有名な柚稀。
まさか柚稀が主役に近い脇役に、立候補するとは思っていなかったらしく、綾は「え…」と声を漏らしていた。
すると、数人の視線が雪奈に向いた。
どっちでも良かったのか、雪奈はあっさりと引き下がる。
その様子に沙月と綾は不満そうな表情。
1軍ヤンキー系からの劇の出場は柚稀だけで、琉依と雅は出ない様子。
ポツリと沙月がザネリ役をしたいと立候補。
ザネリはいじめっ子だ。
ジョバンニの父親がラッコの密猟をしている噂をきっかけにジョバンニをいじめ始める。
確か、そんな感じの役のはず。
いじめっ子の役をどうして沙月が……。
雪奈とめぐみが関係ない話を始めたことで、1軍は全員希望し終わったことが分かる。
すると、どんどん手が挙がり脇役が埋まる。
私は一度も手を挙げなかったが、スグに全ての役が決定し、その人達には台本が配られていた…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!