休憩時間、私はもう癖にもなっている周りの状況を把握することに専念していた。
私の見てる限りだと、3軍の潤と1軍派手の沙羅は仲が良いみたいだ。
多分、部長と副部長の関係からだろう。
となると、潤と仲良くなれそうな私は1軍派手系の沙羅とも仲良くなれる可能性があり。
このチャンスを逃してはいけない。
沙羅と仲良くなれれば、いじめられる可能性も少しは減るから、心が軽くなる。
男子は怜央がいるけど……3軍。
2軍か1軍で仲良い人が欲しいけど、1軍の燎君や倉科君に手を出せば、多くの女子の反感を買う。
なら、2軍で探した方がいいかな…。
そんなことを考えながら、男子の方を見ると、全員が凄い盛り上がっている。
騒ぎまくる男子達に女子も練習をせずに、男子の方を見ていた。
椅子に置いてあるメモに何かを書く柚稀。
てか、レギュラー陣まで無敗って…
あそこまで来たら、化け物級…。
柚稀がゴール側に立って、ボールを渡す。
そこから、男子が攻めるわけだけど…
柚稀は軽々と相手からボールを奪うと、そのまま、抜かしてシュートを決めた。
その後も柚稀が勝ち続け、残り2人にまでなる。
柚稀が呆れたような表情を浮かべると、燎君にボールを渡した。
そう話していると、いつの間にか燎君は負けて、少し拗ねている様子だった。
最後の1人は倉科君。
女子の燎君への歓声が倉科君へと変わった。
柚稀がボールを渡す前に2人で話している。
その後ろで燎君が他の人に小声で…
ずっとコソコソと話す燎君達。
すると…
粘り続け負けた倉科君が大声で叫ぶ。
その瞬間、体育館と体育館入口の女子達が静まる。
少し笑いながら、問う柚稀に悔しそうな倉科君は…
半ば苦笑いを浮かべながら柚稀は…
Infinity劇団にお父さんがいたり、バスケの上手さといい、改めて柚稀の凄さを感じる。
今日でバスケ部のカーストは何となく把握した。
私は後から入ったけど、2人のおかげで上の方にいることが出来そうだ。
男子は倉科君、燎君を中心にしているが、カーストっていうものはあまりなさそうだ。
2人にとって、柚稀はライバルって感じがした。
まぁ……転校初日にしてはいいスタートかな?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。