翌日、私は綾と昨日のことをめぐみに話していた。
めぐみも納得したのか苦笑いを浮かべる。
これで琉依と柚稀の1軍はキープ。
でも、女王にはなろうとしていないから私の下克上には今のところ、問題にはならない。
まぁ、ヤンキー系のカーストはこれで固定かな…。
そう思った時だった。
3軍に落ちて静かになっていた雅が教室にいる人、全員に聞こえるような声量で話し始めた。
私達の隣に座って雪奈と話していた沙月が「は?」と信じられないといいたそうな声を漏らす。
いつの間にか琉依達の席の前に立っていた沙月が、怒り爆発寸前の表情で琉依達を睨みつける。
バチッ!!!
沙月のビンタが雅の頬を痛める。
叩かれた雅を見た琉依が立ち上がり反撃に出ようとしたが、それを柚稀が止めた。
少し腑に落ちない表情を見せたもののスグに琉依は座った。
雅は無言で立ち上がると、沙月を睨む。
バチンッ!!!!!
沙月が雅にビンタしたときよりも大きな音が教室に響き、沙月が尻もちをつく。
そこに…
冷たい目で笑いながら沙月を見下ろす雅。
沙月を頬を押さえながら、歯軋りをして自分の席へと戻った。
朝のホームルームを綾、雪奈と話して聞き流すと、1番最後に……
そう言うと、雅が席を離れて教壇に立つ。
いきなりの中退発表にみんながザワつく。
軽くお辞儀をして顔を上げた雅。
その顔は清々しく、笑顔で沙月を見ていた。
まるで「お前らの言いなりにはならない。」とでも言うかのように……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。