第86話

遊園地
2,336
2019/03/25 14:35
Infinity劇団の劇を見た日の夜、そろそろ寝ようとしていたときに徹からメッセージが届いた。
【まだ起きてる?】

【起きてるよ〜!】

【明日、暇かな?凌久達が学校のメンバーで遊園地に行かないなって言ってるんだけど…】

【遊園地!?行く行く!!】

【おっ、良かった】
【じゃあ、8時半に駅集合で】

【了解で〜す】

【それじゃ、遅くにごめんね。おやすみ】

【おやすみー!】
私、沙羅、千棘、凌久、琉希、徹。
このメンバーで遊園地に行くのかぁ…何か不思議。
三室 弥生
…でも、休日の様子とか観察出来るから別に良いかな。
そんなことを思い、私は眠りにつく。
次の日の朝、駅に行くと千棘と凌久が既にいた。
三室 弥生
あ、2人共!おはよ〜!
楪 千棘
おはよー
榎本 凌久
はよ。
三室 弥生
他のみんなはまだみたいだね?
楪 千棘
まず、琉希は多分寝坊でしょ?沙羅は妹の朝ご飯でしょ?で、徹は普通に駅までが遠いからかな?
三室 弥生
うわ、みんな大変…
楪 千棘
今思えば、凌久は大丈夫なの?
榎本 凌久
何が?
楪 千棘
ほら、優里ちゃん。
榎本 凌久
ああ、帰ってから沢山遊んでって言われたくらい。
三室 弥生
凌久は妹がいるの?
榎本 凌久
そう。12才なんだけど、結構な甘えん坊で人見知りだからいつも俺に懐いてるんだ。
三室 弥生
兄弟とか姉妹っていいなぁ…
一人っ子の私から見れば、凌久も沙羅も柚稀もみんなが羨ましい。
三室 弥生
千棘はいないの?
楪 千棘
いや、私は一人っ子。
だから、そんなに我儘が言えるわけ…
一人っ子なら親は可愛がって何でもしてあげそうだし、それが社長の娘なら尚更ねぇ。
三室 弥生
琉希と徹は?
楪 千棘
琉希は一人っ子。徹は何だっけ?弟?妹?
榎本 凌久
優里と同い年の妹。優里曰く、優里と徹の妹は仲がいいらしい。
兄弟関係はそんなところか…。
凌久の妹は凌久が暴力団総長だっていうこと知ってるのかな…
篠田 徹
遅くなった。
楪 千棘
大丈夫大丈夫。
夕凪 沙羅
遅くなっちゃった!ごめん〜!!
八代 琉希
はよ…
榎本 凌久
琉希、お前完全に寝坊だろ。
八代 琉希
ごめんって!
8時半を10分くらい過ぎたところで3人が到着して、私達は遊園地へと向かう。
日曜日というだけあって、家族連れが多い。
集団で移動していると、顔面偏差値が高い千棘とイカつい空気を流す凌久のことをすれ違う人みんながチラ見していた。
これ、凄い目立ちそうなんだけど〜…
この二人プライベートでも存在感の強さが…
目立ったもののいろんな乗り物に乗れて、楽しい時間を過ごしていく。
帰る前の夜に観覧車に乗ったときだった。
夕凪 沙羅
てか、B組ってカレカノ多いよねー
八代 琉希
あ、それ分かる。
観覧車さ1つの箱の定員は4人。
だから、カップルの千棘と凌久で1つ。
その他の私達で1つを使って、乗っていた。
そんな中、いきなり沙羅がそう切り出したのだ。
夕凪 沙羅
ね、弥生も思わない?
三室 弥生
まぁ、言われてみればって感じ?
八代 琉希
てか、徹。起きろよー!
篠田 徹
ん…
1日中歩き回って疲れたのかウトウトしていた徹を隣に座る琉希が揺らす。
篠田 徹
んだよ……
八代 琉希
だから、俺達のクラスってリア充が多くね?って話。
篠田 徹
まぁ…確かに……
八代 琉希
てか、徹は好きな子いねーのかよー。もう高2だろー?
篠田 徹
いるし…告ったし……
八代 琉希
おぉ〜………は!?告った!?
三室 弥生
いった!!!!!
徹が寝惚けてたのかそう薄く瞼を開けたまま呟くとそのまま再び寝てしまった。
いきなり言ったもので私は頭を後ろに当てて、大声を出す。
琉希は本っ当に驚いた顔で固まっていた。
夕凪 沙羅
ちょっと弥生、大丈夫?
三室 弥生
う、うん…。驚いちゃって…
八代 琉希
徹がこ、告った…?この徹が…!?
三室 弥生
それってそんなに珍しいことなの?
夕凪 沙羅
まぁ、珍しいかな?
八代 琉希
コイツは女子にも男子に興味も無いから、誰かに告るってことが無い。そもそも徹のタイプすら知らない。
三室 弥生
男子に興味ってそれは…
夕凪 沙羅
琉希、キモイわ〜…
八代 琉希
あ、あくまで例として!まぁ、告ったなら返事がどうだったのかが気になるからいつかしつこく聞くぜ!
三室 弥生
が、頑張って!
それは良くないよ!?
そんなことされたら多分、私の身がもたないし、普通に恥ずかしいから…
心の中で叫んだところで届かないけど…
私はそう諦め話を逸らす。
そして、終わりに近付き琉希が徹を叩き起して、私達は観覧車から降りて遊園地を後にした。
榎本 凌久
そんじゃ、また明日。
夕凪 沙羅
うん!
八代 琉希
おい、て ──
篠田 徹
おやすみ。
楪 千棘
凌久、行こー
琉希が徹に問い詰め始め、私はそこから逃げるようにその場から去る。
歩き始めて少し経ったとき、後ろから足音が聞こえて、振り返ると徹がいた。
三室 弥生
凄い聞かれてたね。
篠田 徹
俺、何か言ったっけ…
三室 弥生
寝言かな?
篠田 徹
マジか…あ、家まで送るよ。
三室 弥生
ありがとう。
そう言って、歩き出したが…
三室 弥生
あれ?
見慣れた人が私達の目の前を横切りいなくなったのを見て、私は足を止めた…。

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