第68話

1軍だって所詮…
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2019/02/27 11:10
その日の夜。
部屋で沙羅と話している時だった。
夕凪 沙羅
まぁ、あれなんだよね。みんなから1軍とか言われてるけど、あたし的にはみんなと仲良くしたいんだよね〜
三室 弥生
あ、そうだったの?
夕凪 沙羅
勿論だよ。お姉ちゃんの妹だから何か気兼ねされることが多くてさぁ〜別に家庭事情は別っしょ?
三室 弥生
まぁね。
夕凪 沙羅
てかさー、そもそも1軍って言ってもまともな人間いなくない?
三室 弥生
え…
本人がそんな発言をするなんて思わなかった。
夕凪 沙羅
千棘とかもうヤバくない?瀬山ちゃんが可哀想だわ〜
三室 弥生
沙羅なら止められるんじゃない?
夕凪 沙羅
それが出来ないんだよね〜…千棘って彼氏いるじゃん?
三室 弥生
榎本君?
夕凪 沙羅
そうそう。凌久さ、暴力団総長だから彼女の千棘に刃向かったらとんでもないことになるわけよ。
三室 弥生
あ〜…
初日に怜央がそんなことを言っていた気がする。
夕凪 沙羅
で、千棘も千棘で社長の一人娘だからねぇ…
沙羅が少し困ったように眉を下げる。
今なら、他のことも教えてくれるかも…!!
三室 弥生
あとはあとは?
夕凪 沙羅
あとは〜、琴葉とか?あの子、両親が凄い厳しくて、いつも学年1位を取れって言われてて、2位でもかなり怒られるんだってさ。
三室 弥生
大変だね……あ、篠田君は?
夕凪 沙羅
徹は多分、うちらのグループで一番まともなやつだと思う。
付け足しがない所から徹は凌久の親友ってだけで、特に何も無い平凡な学生だと見た。
夕凪 沙羅
まっ、楽しいからいいかな。
三室 弥生
そっか!楽しいならいいんじゃない?
夕凪 沙羅
うん!じゃあ、おやすみ!また明日、がんばろーね!
みんなが布団に入り、私達も入ると電気を消した。















[ビーーーッ!!ビーーーッ!!!]
突然のアラーム音にみんなが飛び起きる。
[バスケ部の皆さんおはようございまーす!只今、6時です!30分後に旅館前集合ですよ〜!]
何か聞き覚えのある声が聞こえ、放送が終わった。
ダラダラと練習着に着替えて、みんなで外へ。
外には柚稀が1人で立っていた。
夕凪 沙羅
まだ眠いよ〜…
空閑 柚稀
はーい、野崎先生と雪村先生の指示でこの旅館周りのコースを15周!
坂上 潤
…ちなみに何km?
空閑 柚稀
確か…6kmだったと思うよ。朝一番にしては少ない方じゃないかな?
ニコニコと笑いながらサラリと言った言葉に部員のみんなが軽く固まった。
桃原 怜央
空閑は走らないのか?
空閑 柚稀
人間、皆平等!ちゃんと4時半に起きてみんなより先に走ったよ。
人間、皆平等…。
1軍だって所詮は人間。
ちょっと押しただけでスグに崩れる脆い存在。
私はただそれを利用したいだけ…。
最終目標は私がクラスのトップになることと柚稀が落ちること。
今の間は言うことを聞いておこう。
私はそんなことを思いながら、みんなと一緒に15周を死ぬ気で走ったのだった…。

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