雅が落ちてから3日間経った放課後。
呼ばれた有咲が沙月の机に向かう。
沙月と有咲が何かを話していると、それを横で見ていた雪奈達が…
私も呼ばれ、沙月の机に向かう。
雪奈は少し困ったように首を傾げた。
雪奈がそう言うと…
散々「いじめっ子感」だの「地味」だの言って、私のことを嫌いと言った有咲にわざわざ沙月が問う。
沙月達の1軍に座れる席はただ1つ。
威圧をかけるような有咲の目から私をその椅子から蹴落とそうとしているのはスグに分かる。
………そんな好き勝手にさせるはずは無い。
私の発言に有咲の笑顔が歪んだ。
沙月も自分の悪口を言われてると思いたくないのか少し睨むような目で私を見る。
有咲が唾を飛ばしながら怒鳴る。
私は沙月の机を蹴り飛ばしたりした動画を見せようと思ったが、それは取っておいて、雅を尾行する時に喫茶店で愚痴っていた音声を流すことにした。
そう言い、音量を最大にすると、スマホの再生ボタンを押した。
『じゃあ、"有咲"は"沙月ちゃん"のことどう思っているの?』
2人の名前を言う私の声が流れる。
『私?普通に大っ嫌い。雪奈ちゃん達もよくあんなのと付き合えるよね。私だったら絶対無理。てか、沙月ちゃんって読者モデルなだけでしょ?表紙を飾っていないのに何であんなに堂々と出来るの?マジ笑うわ。』
ペラペラと話す有咲の声。
顔を上げてみると、顔を怒りで真っ赤にする沙月とそれと逆に顔を真っ青にする有咲の姿。
沙月が目付きを鋭くし、有咲を睨む。
その威圧感からか、有咲は一歩後ろに下がる。
沙月の声に綾とめぐみが動き、有咲の腕を掴んだ。
有咲が動けなくなったのを確認すると、沙月と雪奈が有咲の鞄を探り出した。
雪奈が化粧ポーチを漁りながらケラケラと笑う。
沙月も探りながら「よくこんなので来れるね。」と言って、蔑みの目で有咲を見た。
有咲が暴れるが、2人に腕を掴まれ動けない。
すると…
そう言い、沙月がタバコとライターを取り出した。
手を叩き、お腹を抑えて雪奈が笑う。
そう言えば、有咲からいつもタバコの臭いがした。
本人に聞くと「親が家で吸うから移っちゃった」と言ってたけど…まさか、本人がしてたとは…。
バチンっ!!!
いきなり、有咲の頬を沙月が叩く。
それだけを言うと、沙月は鞄を持ち、教室を出る。
それを見た、綾とめぐみも有咲の腕から手を離して教室の外へ。
何をしたらいいかが分からない私は、雪奈に腕を引かれて、有咲を置いたまま教室を出た。
1軍の席に私は座ることが出来た。
でも、多分有咲は3軍のままになる。
まだまだ……もっと確実に蹴落とさないと。
そして、私は1軍派手系に入ることになった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!