琴葉が死んだことに1番ショックを受けていたのは沙羅だった。
1日が経つと、千棘は普段の明るさと威厳を取り戻していたが、沙羅はそうはいかなかった。
思い詰めた表情でスマホの画面をじっと見つめる。
そんな沙羅を私はじっと見ていた。
何回も呼んでいたのか潤が呆れ顔になると、黒板の日直を指した。
昨日の慶士と同じことをした私は慌てて、次の授業で先生が使うものを教室に運ぶために職員室へ。
職員室に行き先生を呼ぶと、先生は私を自分の机まで呼んだ。机に置いてあるのは、大量のプリント。
まさか…このプリントって…
嫌な予感が当たった私は暗い返事を返す。
これ、絶対に重い…。
先生が私に渡してくれたプリントは案の定、重い。
どうして今日が日直なんだ、と思いながら、私はプリントの束を抱えてよたよたと歩きながら、職員室からまぁまぁ遠い教室へと向かった。
何で私がこんなに重いのを…
これなら、怜央か慶士を呼べば良かった…
すると…
階段を上って、曲がり角を曲がろうとしたとき、誰かにぶつかって、体を守ろうと私は抱えていたプリントを離してしまった。しかし、体を守ろうとプリントを離したにも関わらず、そのプリントを踏んでその場に尻もちをついた。
ぶつかって、離したことにより床に広がった大量のプリントを見て、気が遠くなる。
それよりも…!
私は素早く立ち上がると、頭を下げる。
この悲惨な光景を見て、少し戸惑い気味相手に謝られ、私はぱっと顔を上げる。
1軍の中で1番目立っていない徹。
それでも、1軍には変わりないから私は今ので凌久にチクられないかヒヤヒヤする。
そう言って、徹はしゃがむと床に落ちた大量のプリントを拾うのを手伝い始めた。
見てはいけないことを見てしまったと言いたいような声で話す徹。
はい、ご最もです…。
守ろうとして、プリントを犠牲にしたのに普通に尻もちついたのはかなりの恥です…。
恥ずかしくなって少し目を伏せると、私もプリントを拾い集める。
最終的に、徹が重いプリントをほぼ持ってくれた。
ごにょごにょと誤魔化す私に不思議そうな表情を浮かべた徹。すると…
話題を変えてくれて、私は心から感謝する。
すんとしてるイメージだったけど、普通に優しっ…
本当に作戦が上手くいきすぎて驚いた。
きっと徹は分からないだろう。
そこから学校の話が続く。
しかし、そこで私は自分で気づかない内に最終目標としてる柚稀のことを多く話していたようで…
すると、"明るい"という言葉に何かを思い出したような表情を見せた徹が…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。