私は怜央の作戦通りに行動し、前に沙羅から聞いた琴葉の家に行き、ポストに"ある物"を入れる。
すると…翌日、琴葉は欠席していた。
黙っていた怜央が少し笑いながら、そう言った。
慶士は分かっていない様子。
慌てて教室からいなくなった慶士。
すると、怜央が少しニヤつきながら…
昨日、私は"琴葉が映っていて"蒼ちゃんをいじめている動画のDVDを琴葉の家のポストに入れたのだ。
きっと、お母さんとかが見たんだろうな…
呑気にそんなことを思っていると…
沙羅の大きな声が教室に聞こえて、喋っていたみんなが黙った。
スマホを耳から離して震えた声で答えた沙羅。
沙羅はスピーカーボタンを押した。
電話の奥から、怒鳴り声が聞こえてくる。
その言葉を最後に電話は切られる。
嫌われる理由に思い当たりがない2人は理由が分からなくても、やっぱり言われるのは嫌なのか曇った表情を浮かべていた。
私は吹きそうになるのを必死に堪える。
だって、理由は私だもん。
あの動画は多分、琴葉は千棘と沙羅に送った。
そして、その動画が自分の家のポストに入っていたとなると琴葉目線で考えると、千棘か沙羅だとしか思えない。
朝学活、暗い表情の先生が教室に入ってきた。
教卓に手をつくと、俯きながら…
何も知らない2人が呆けた声を発する。
私は琴葉の想像以上の落ち方に楽しくてしょうがなく、早く次がやりたいと思っていた…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。