天使? いや紳士?
自然と顔がほころんでしまう。
ズキューン。心臓にハートの矢が刺さった。
可愛さに油断をしていると、
急にスカートを捲られ、胸をガッと触られる。
犯人はもちろん、私の周りをくるくると走る双子。
ため息をついた遊佐くんが双子を捕まえた。
翔くんを抱き上げ、頬ずりする遊佐くんは
もうデレッデレだ。
スケベ心がチラチラと顔をだしてくる。
顔を見合わせ頷いた双子達は遊佐くんに抱きついた。
そう言ってキッチンに向かう遊佐くんはまるでお母さん。いわゆるオカン男子だ。
普段面倒見がいいのも納得できる。
でもリビングに残された弟たちは少し寂しそう。
私は小さく手招きした。
私達は更に小さな輪になって話す。
ごつんと脳天に衝撃が走った。
振り返ると鬼、じゃなくて遊佐くん。
するとびっくりした翔くんが急に泣き始めた。
遊佐くんはギロリと私を睨み、翔くんを慰める。
すると突然雷が鳴り、天候は急変。
そして雷で騒ぎ出す双子達。
慌てて外に飛び出した私は、
急いで洗濯物を取り込んでいく。
下着と聞いて、スケベ心達が騒ぎ出す。
そして、たぶんそこにぶら下がっている
ボクサーパンツは遊佐くんのもの。
謎の言い訳を心の中で繰り返しながら、丁寧にパンツを洗濯バサミから外す。
打ち付ける雨の中、
こっそりと遊佐くんのパンツを観察する。
それはどこか見覚えある形のボクサーパンツ。
ritoとは、なにを隠そう私の大好きな
セクシーモデルだ。
振り返ると、そこにはritoがいた。
濡れた髪は緩くウェーブし、ちらりと覗く刈り上げがそのセクシーさを増している。
追いつかない思考の中、鼓動だけが早くなる。
すると彼は強引に軒下へと私を連れ込み、
壁へと押し付けた。
光る稲妻に照らされたritoは紛れもなく
遊佐くんで―――。
ショート寸前の私を覗き込むように
遊佐くんは唇を寄せる。
その距離わずか5ミリ。
彼の濡れた髪から、火照った私の頬に
冷たい水滴が落ちた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!