“助平”とは、好色なこと。
異性に対して異常に好奇心を示すこと。
私はそんじょそこらのエッチな女子とは違う。
簡単に言うとイケメンフェチ?
イケメンマニア?
つまり、イケてるメンズのコアなファンってこと。
助平とか好色なんて古い?キモい?まじ卍?
ノンノンノン。時代が私に追いついてないだけ。
とにかく、私はイケメンの表情、仕草、あの部分にだって、、純粋に夢中になっちゃう助平女子なのです!
私にはお兄ちゃんなんていない。
そして、耳に当てたスマホはダミー。
全ては、このメンズ用下着雑誌を購入するためのフェイク!
この助平心美17歳ギャル女子高生にかかれば、本屋の店員ごとき他愛もない。
鼻息は荒くなり、足が勝手にスキップする。
バサリ。
鼻奥がツンとして、生暖かい何かが鼻から溢れ出す。
そんなことより!
手にとると、それはやっぱりボクサーパンツ。
後ろからぐいっと誰かに手を引かれる。
そのまま倒れそうになった私を受け止めるのは、逞しい筋の通った腕。
そして私を見下ろす勝ち気な眉と、全てを見透かすような透き通った瞳。
手に持つパンツをすぐに差し出すと、彼はニヤリと笑い私の頭にパンツをかぶせる。
鼻の下に触れると、指に血がついた。
私が取り出した本を見て、イケメンは勝ち誇ったように笑う。
うわ!私のバカ!
ダミーの方じゃなくて下着雑誌見せちゃった!
無駄なフェロモンを垂れ流しつつ、イケメンは私を塀まで追い込む。
体勢は、かの有名な壁ドン状態だ。いや、塀ドンか。
イケメンはそのまま、挑発的な笑みを浮かべチラリと腰元からパンツを見せてくる。
イケメンがまじまじと私の顔を見て、バカにしたように笑う。
あっけに取られたように私を見つめるイケメン。
イケメンはそう言い残し、パンツを手でくるくる回しながら帰っていった。
イケメンの入っていた敷地には高級外車が止まり、住宅街に場違いな程の3階建のおしゃれな一軒家が建っていた。
喉の奥がヒュッとなった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。