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第1話

JK、パンツ泥棒に間違われました
19,574
2018/10/15 07:55



 “助平”とは、好色なこと。
異性に対して異常に好奇心を示すこと。



私はそんじょそこらのエッチな女子とは違う。
簡単に言うとイケメンフェチ?
イケメンマニア?

つまり、イケてるメンズのコアなファンってこと。



助平とか好色なんて古い?キモい?まじ卍?
ノンノンノン。時代が私に追いついてないだけ。


とにかく、私はイケメンの表情、仕草、あの部分にだって、、純粋に夢中になっちゃう助平女子なのです!

心美
心美
あ、もしもし?お兄ちゃん?
買ってきてって言われた雑誌どれだっけ
心美
心美
あー、はいはい。
ったく妹にこんな恥ずかしい雑誌買わせないでよ〜


私にはお兄ちゃんなんていない。
そして、耳に当てたスマホはダミー。

全ては、このメンズ用下着雑誌を購入するためのフェイク!
店員
ありがとうございま〜す

この助平心美スケヒラココミ17歳ギャル女子高生にかかれば、本屋の店員ごとき他愛もない。

心美
心美
(だってこの雑誌には今をときめくセクシーモデル"ritoリトのお尻が!あぁ、あの引き締まったお尻の海に溺れてそのまま末永く眠りたい!)

鼻息は荒くなり、足が勝手にスキップする。
心美
心美
(あぁ、この澄み切った青空にも神々しいお尻を守るパンツが飛んでる!)
心美
心美
え?パンツ?
バサリ。
心美
心美
うお! 視界全面に妄想のパンツが!


鼻奥がツンとして、生暖かい何かが鼻から溢れ出す。
そんなことより!

手にとると、それはやっぱりボクサーパンツ。

心美
心美
これはっ!!
一枚五千円もする高級ボクサーパンツ!
男のお尻とパーソナルエリアを優しく包み込み、ストレスを軽減した親切設計!
心美
心美
やっぱり! 
このマーク、アルモーニの大人セレブパンツだ……あぁ、この手触り、ritoリトのためにつくられたと言っても過言でない!
スケベ心
スケベ心
※助平心美は男性のパンツの中身をパーソナルエリアと呼ぶよ!
??
??
おい、そこの鼻血女!
心美
心美
ショッキングピンクか〜、でも私的には黒一択かな!なんせ色気が段違いーー
??
??
おい! 聞いてんのかパンツ泥棒!

後ろからぐいっと誰かに手を引かれる。

そのまま倒れそうになった私を受け止めるのは、逞しい筋の通った腕。

そして私を見下ろす勝ち気な眉と、全てを見透かすような透き通った瞳。
心美
心美
(ぅわあ、イケメン……)
心美
心美
って、キャーーーー!!
??
??
うっせ! 叫びたいのはこっちだ!
俺のパンツ返せ!

手に持つパンツをすぐに差し出すと、彼はニヤリと笑い私の頭にパンツをかぶせる。
??
??
鼻血でてっぞ? 
このパンツやるからもう俺に二度と関わるなよ、パンツ泥棒

鼻の下に触れると、指に血がついた。
心美
心美
うわ! こ、これはいつものことで!
??
??
はぁ? そんな嘘通用すっか。
違うなら証拠出せ、証拠!
心美
心美
証拠?! そうだこの本!
この本を買いに行って、その帰りでっ
パンツはたまたま風で飛んできて!

私が取り出した本を見て、イケメンは勝ち誇ったように笑う。
??
??
物的証拠だな。女子高生がパンツ盗むとか、世も末だな
うわ!私のバカ!
ダミーの方じゃなくて下着雑誌見せちゃった!
??
??
お前、名前は?
心美
心美
警察に突き出すんですか?
……教えたくありません!
??
??
へー、まーだそんなこと言ってられんだ

無駄なフェロモンを垂れ流しつつ、イケメンは私を塀まで追い込む。
 
体勢は、かの有名な壁ドン状態だ。いや、塀ドンか。
 
イケメンはそのまま、挑発的な笑みを浮かべチラリと腰元からパンツを見せてくる。

心美
心美
(オーーーマイガッ!目が、目が勝手に腰に! まるでおへそ横の小さなホクロが、私を誘っているみたい……)
??
??
ほら、俺のパンツに用があるんだろ? おとなしく名前を言え
心美
心美
(ごくっ)……すけひらここみ、です
??
??
すけ、ひら……?
心美
心美
そうですよ!助けるに平和の平!
すけひらです!
??
??
……へえ、
イケメンがまじまじと私の顔を見て、バカにしたように笑う。
??
??
すけべぇ、か
心美
心美
そうよー!! スケベで何が悪いの?!
女の子にだってスケベ心はあるんです!
心美
心美
それにさっきから失礼よ!
私は人一倍スケベ心を隠し持った女子高生よ。
でも下着は盗んでない!犯罪はしない!私のスケベ心に誓って!

あっけに取られたように私を見つめるイケメン。
心美
心美
(キョリ近っ!あ、すっごくいい匂いがする。天国のお花畑って、多分こんな幸せな香りなんだろうな……。ずっと嗅いでいたい……ってそうじゃなくて!)
心美
心美
離して!!
パンツは返します!
??
??
なんだ、違うのか。
……疑って悪かったな、すけべぇさん?

イケメンはそう言い残し、パンツを手でくるくる回しながら帰っていった。
心美
心美
えー
なんだったの、あの超ドSイケメン……

イケメンの入っていた敷地には高級外車が止まり、住宅街に場違いな程の3階建のおしゃれな一軒家が建っていた。

心美
心美
(あの人、すごくいい腹斜筋してたなぁ。引き締まってた!それにあの制服からのチラリズム。もう一生拝めない気がする)
心美
心美
……制服? 
って、あれうちの高校じゃん!!



喉の奥がヒュッとなった。


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