翔はそう言うと、人混みの中に消えていった。
空いていたベンチに座り、翔を待つ。
珍しいな、翔が奢ってくれるなんて...
そう言って季織は笑った。
季織は表情ひとつ変えずに立ち上がり、顔を近付けた。
優しく笑った季織は、どこかへ行ってしまった。
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第十八話
後夜祭
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私達は一周して玄関に戻ってきた。
もうすぐ後夜祭、誰もいなかった。
翔は悲しそうな、笑顔で、階段を駆け上がって行った。
「後夜祭のスタートです!」
放送が鳴る。
決まってる。
もう答えは出てる。
好きだった。
ずっと心の中にいた。
アイツの所へ、
行かなくちゃ。
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次回▶︎最終話
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。