第3話

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2019/04/15 22:26


「おはよ〜 昨日のドラマ見た??」

「見たよ〜!まさかのラスト過ぎない!?」


「今日カラオケ行かない?」

「行く行く〜!」



通学路はそんな言葉ばかりで埋め尽くされていた


私はそんな中を1人歩いた

まるで私だけ別次元に居るかのような錯覚に陥る




ガラッ


「ともこ彼氏できたって〜!?」

「やったじゃ〜ん!」


「おい!昨日駅前ですごい可愛い子見つけたぞ」

「お前は見る目ねーからなぁ」


「4組の担任の先生、昨日キレたらしいよ」

「めんどくさ〜」




教室に入るとそこも 通学路と一緒

まるで話題の宝庫だ


毎日毎日ネタがつきないこと……



私はそんなクラスメイトを横目に
窓際の1番後ろ…つまり" 神席 " という部類に入る自席についた


このクラスの人数は奇数席

つまりこの席だけが 飛び抜けている。

隣の席はないのだ


隣に話す人がいなければ 私以外からしたら
ハズレ席といっても過言ではない

特に話すつもりもない私からすれば
これ以上ない神席になるのだ



私は頬杖をつき、クラス内を見渡す。

この席はなんでも見える


人間関係……


っと…言ってるそばから……


昨日まではあんなに仲良かった 栗山さんと北島さん…


常に2人で居たのに、今はお互い別々のグループの子達と楽しそうに話している


栗山さんと北島さんは目すら合わそうとしてない


「はぁ…」


ね? 友達なんて所詮形だけでしょ

全てを悟った私は、自分の目線をクラス内から
校庭へと移す



今日も雲1つない晴天…

太陽の光が 校庭に反射して やけに眩しい

私は目を細めながら どこか遠くを見つめた





「はーい。席につけ〜」


しばらくすると 担任の先生が教室に入ってくる


「今日は転校生がくる…予定だったんだがどうやら遅刻のようだな……」


席についた皆はそんな先生の言葉に ドッ と
笑いを起こす


転校初日に遅刻って……

無神経なのか度胸があるのか……



私はそう思いながらも 特に興味を示さず
ぼーっとどこか遠くで先生の話を聞いていた


するといきなり先生が私の隣の席に机を起き始める


「え…??」

「おい音羽聞いてなかったのか?今日から音羽の隣の席に転校生がくる」


先生はそう言いながら 再び教卓に戻る


私の……唯一の心休まる空間が……


内心落ち込んだものの、関わらなければ
いい話だ。

私はそう言い聞かせ どこか落ち着かない心を
落ち着かせ、再び外へと目を運んだ

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