第2話

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2019/04/15 07:10

朝、目が覚めるといつも頬には少し乾いた
涙の跡がある。


忘れたいのに忘れられない。

私の時間は止まったままなのだ。


毎日のように見る あの夢は きっと私を自由にする気なんてない。



「早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ?」


1階に降りるとお母さんが朝食を作って待っていた。

その美味しそうな匂いに、私ではなく 私のお腹が [グゥゥ〜]と情けなく答えたのだ。




「新しい学校はどうなの?」


ふとお母さんが私に聞く。

私は、程よく 焼かれたトーストを食べながら


「ふつー」


短くそう答えた。


「せっかくの高校生なんだから…楽しみなさいよ」


そんな私の返事にお母さんはそう答え、お父さんと弟の分の弁当を作り始めた。



高校生なんだから楽しめ……か、、

憂鬱な学校生活をどう楽しめと言うんだ


偽りだらけのあの空間を思い出しただけで
食欲が失せる



「ごちそうさま」


残ったトーストをかきこみ、私は支度を整え
学校へと向かった。

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