……どういう、意味?
西内くんは少し間を置いて、話を続けた。
西内くんの表情は曇っていた。
彼の申し訳ないという気持ちが伝わってくる。
私は正直理由を聞いてもピンとこなかったけど、西内くんが私を気遣ってくれていると知ってうれしかった。
やっぱり西内くんは優しいな。
改めて彼のことが好きだって思った。
なかなかデートできないってわかっていても、私は……。
どうしてだろう。
二度目の〝好き〟は、彼の瞳をまっすぐに見つめて伝えられた。
今が一番の勝負所だって直感したのかもしれない。
〝私の気持ちがうれしい〟というあの言葉が本当なら、こたえてほしい。
そんな簡単にあきらめられるような想いじゃないって、西内くんに伝わってほしい。
心の中で何度も祈りながら、彼の返事を待った。
西内くんが優しく微笑んでくれたので、私もにっこり笑い返した。
やった。私の気持ち、受け入れてもらえたんだ。
そして、まさか西内くんも私を気にかけてくれていたなんて……こんなことってある?
飛びはねて喜びたいくらいにうれしいよ……。
西内くんのはにかんだ顔を見つめながら、これから訪れるであろうバラ色の日々に心おどらせていた。
──このときの私は、初恋が叶って浮かれすぎていたのかもしれない。
〝普通の恋愛できない〟ことがどういうことなのか、理解できていなかったのだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。