第80話

ななじゅうきゅう
1,084
2018/11/26 13:18
あなたside
「あなた?」


『え?!』



いきなり前から声がして勢いよく顔を上げた




そこに居たのはりっくんだった。








一瞬期待した。


もしかしたら、私の異変に気づいて

来てくれるんじゃないか。


と。



にいになら分かってくれるんじゃないか。



と。









だけど、儚く砕け散ったみたいだ。




『りっくん…』


リ「何泣いてんの?!」


リ「どーした??」


『ん、なんもないよ』



リ「なんもないことないでしょ!?」



『大丈夫だから…』



リ「でも…『ね?!』


私がそう言うと、

りっくんはそれ以上何も聞かなかった。

りっくんには悪いと思った。









リクヲside


荷物持ちをしようと家を出て
角を曲がるとそこにしゃがみこむ人影があった。


近寄ってみるとあなただった。


声をかけると驚いた様子で



ってか、こっちの方が倍驚いたんだけどね…w


だってめっちゃ泣いてんだもん。




気になったから聞いたんだけど

あなたが目で〝 これ以上聞かないで 〟と

訴えてきているようで、口を閉じた。





リ「重いでしょ?もつよ」


『ありがと』


そう言って分けてくれるのは軽い方。


リ「ねえ、俺ってそんな頼りない?」


『え?』


リ「だってこれ…」


『あ、ごめんw普通に間違えたww』


少し引きつった笑顔だったけど

泣き顔を見た俺からはやっと見れた笑顔だった。



というか、普通に重い方と軽い方を間違えるとは

ぼーっとしすぎたろw

なんて思いながらも、残りわずかの家路についた。

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