第2話

私の出来なさ具合
2,435
2018/05/26 10:06
熱気のこもった体育館。

ドリブルの振動と、バッシュのスキール音が体全体に響く。

「光!」

パスが飛んでくる。私はそれをキャッチして、スリーポイントラインからシュートを打った。

だが、そのシュートはガァンッ!と派手な音を立てて外れる。

「あぁっ」

「光もっかい!」

偶然私の方にボールが跳ね返ってきたので、チームメイトがそう叫んだ。

「はいっ!」

返事をして前へ走り出す。

結構近い……取ってすぐレイアップ!

瞬時に判断し、軽く飛んでボールをキャッチすると私は二回ドリブルをついてレイアップシュートをした。

レイアップシュートは、全てのシュートの中で一番入る確率が高いシュート。これなら……!と思ったけど。

「っあ」

強すぎた。ボードに勢いよくボールが当たり、リングに触れることすらなく跳ね返った。

嘘だろ……!つら!!

「何やってんの光!今のは入れるとこでしょ!!」

「すっ、すみません!!」

コートの外からキャプテンに怒鳴られてしまった。

最近ずっとこれだ。

沈みそうになる気持ちを、なんとか前向きにさせて、私は再びボールを追い始めた。


「……馬鹿」

誰かが呟いた声は、それ以上の音に消されて私には届かなかった。

プリ小説オーディオドラマ