熱気のこもった体育館。
ドリブルの振動と、バッシュのスキール音が体全体に響く。
「光!」
パスが飛んでくる。私はそれをキャッチして、スリーポイントラインからシュートを打った。
だが、そのシュートはガァンッ!と派手な音を立てて外れる。
「あぁっ」
「光もっかい!」
偶然私の方にボールが跳ね返ってきたので、チームメイトがそう叫んだ。
「はいっ!」
返事をして前へ走り出す。
結構近い……取ってすぐレイアップ!
瞬時に判断し、軽く飛んでボールをキャッチすると私は二回ドリブルをついてレイアップシュートをした。
レイアップシュートは、全てのシュートの中で一番入る確率が高いシュート。これなら……!と思ったけど。
「っあ」
強すぎた。ボードに勢いよくボールが当たり、リングに触れることすらなく跳ね返った。
嘘だろ……!つら!!
「何やってんの光!今のは入れるとこでしょ!!」
「すっ、すみません!!」
コートの外からキャプテンに怒鳴られてしまった。
最近ずっとこれだ。
沈みそうになる気持ちを、なんとか前向きにさせて、私は再びボールを追い始めた。
「……馬鹿」
誰かが呟いた声は、それ以上の音に消されて私には届かなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。