ふと時計を見ると、もう夜の8時だった。
私はキッチンにあった2つの洗剤を持って、
キッチンのドアを開けた。
人を殺す為の作戦はこう。
まずは薬品庫に行き、睡眠薬か何かで人を気絶させる物を
見つける。
そして、1番殺しやすそうな誰かを気絶させた後、洗剤を
混ぜて毒ガスを発生させる。
これを密室の中で行う。
睡眠薬を探す時間を取るため、できるだけ早く薬品庫に
行かないと…
辺りを見渡すが、廊下に人はいないようだ。
私は急いで薬品庫に向かった。
薬品庫の場所は、カレーを作る最中に地図を見つけて、
確認していたから分かる。
もし誰かに見つかっても不自然に思われないよう、
自然に歩いた。
洗剤を持っている時点で不自然だろうけど。
しばらくして、私は誰にも会うことなく薬品庫についた。
薬品庫のドアを開けると、人影が見えた。
私はとっさに洗剤を隠す。
名前は確か…進藤ルイ。
ものすごいとっつきにくそうな感じ。
正直怖い。
けど、睡眠薬を探さないと!
ルイがいるからといって、引き下がる訳にはいかない。
睡眠薬を見つけて、誰かを殺さないといけない。
ルイが邪魔するなら…
ルイが私の胸ぐらをつかんだ。
はあ、なんて事。
女性に向かって…
私は、「混ぜるな危険」と書かれた洗剤の蓋を
2つとも開けていた。
そして、洗剤の中身を床に落とした。
混ざった洗剤から、煙が出てきた。
私はルイの手を振り払って、薬品庫を出た。
そして、ドアを閉めた。
薬品庫のドアがドンドンと揺れる。
私は必死に押さえつける。
しばらくすると、ドアの向こうは静かになった。
その瞬間、私の目から涙が出てきた。
人を殺したから?
安心したから?
分からない。
自分が分からない。
気づけば、私は口にしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。