確かに、私がヒトゴロシだという事実から目を背けては
いけない。
けれど、人の死体を見ることがとても怖かった。
血の匂いがする音楽室。
床に横たわった女性。
誰かの叫び声。
歪み始めた視界。
銃で頭を撃ち抜いた私の姿______
サキの言葉で我に返った。
今のは、…?
そんな事より、今はより多くのアリバイを
作らないといけない…。
このまま人狼に関する証拠が無ければ、裁判の時に
無差別に処刑される可能性がある。
それだけは、絶対に避けないと…。
まさか薬品庫のドアノブから、私の指紋を採取するなんて
事はないだろう…。
薬品庫には、私に繋がる証拠はなかったから…
サキの声が戸惑っていた。
きっと、私が誰かを身代わりにする事に驚いているんだ。
私だって…誰かを身代わりに殺すなんて、したくなかった…。
けれど私には_____
大切なあの人の為に、まだ死ねない理由があるから…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。