私は矛盾している。
人の命はなんとも思わずに殺し、自分は生き残ろうと
している。
人を殺すことは、1番単純で、1番罪深い行為。
そんな事、許されていいはずない。
でも私はもう、1人の死によって生きている。
これ以上、退いていられない。
現実から目を背けてはいられない。
…生き残らないと。
「うわぁぁぁ!!」
誰かの叫び声が聞こえた。
2人で寝室を出て、薬品庫に向かった。
薬品庫の近くに来ると、マシロが尻もちをついていた。
マシロは頬を吊り上げて無理矢理笑っている。
マシロは薬品庫の中を指さした。
私はそっと薬品庫の中を覗いた。
薬品の中には、青白くなったルイの姿があった。
目も口も開いていて、悲惨な姿になったルイが。
私は演技でなく、実際に吐いた。
気持ち悪い。
人の死体は、あんなにも気持ち悪い物なのか。
騒ぎに気づいたのか、他の数名も薬品庫に来た。
マリア、だっけ…
よくこんな状況で死因まで考えてられるよ…
すると、どこからかラビの声が聞こえてきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。