第15話

跛行の二人 2-②
70
2019/02/17 06:47













アリスは低い声で話し始めた。

























アリス
私は、夢の中で遊んでいたいの。
白雪姫
遊びたい?
白雪姫
それだけですか?
アリス
それだけ。













白雪姫は無垢な表情でアリスの顔を覗いた。






























そのキラキラとした目は、どんな宝石よりも輝いていて、

煌めいていて…








不透明だった。




























白雪姫
夢の中に「逃げたい」のでは
なくて…?













白雪姫がその言葉を発した瞬間、アリスの足は止まった。























アリス
………違う。
白雪姫
違いませんわ!
白雪姫
だってここ…














白雪姫はアリスの腕を掴んだ。






















アリス
ぃ゛っ………






アリスは嘆声を上げた。








白雪姫
この痣…








アリスの腕には殴られたような傷が生々しく残っている。























それは口にしなくても充分すぎるほど、アリスの過去を

物語っていた。




















白雪姫
なら私は……















白雪姫は上目遣いでアリスを見つめた。



























白雪姫
貴方を楽にしてさしあげますわ。

























その瞬間、白雪姫はアリスに剣を振りかざした。





























アリス
っ………










ドシンと音をたてて振りかざされた剣は、アリスに

当たらなかった。
















その代わり、地面に少しばかりの亀裂が入る。







白雪姫
まあ、意外とすばしっこくて。
アリス
私を…
アリス
殺すつもり…?







白雪姫はニコニコと笑った。
















けれどその目はアリスよりも冷たくて。








アリスはゾッとした。













その時、遠くから嗚咽が聞こえた。










白雪姫
……?
白雪姫
誰かのすすり泣きが…











アリスは嗚咽が聞こえる方に向かった。
















アリスの背中を、白雪姫は追った。










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