私の名前はアリス。
私が主人公の物語「不思議の国のアリス」では、結局
“ただの不思議な夢”に終わった。
私はもっと、不思議の国を冒険していたい。
白うさぎを、追いかけていたい。
夢の中で、ずっと過ごしていたい。
それなのに。
物語が終わったせいで、私は元の生活に逆戻り。
ああ、
『物語が終わらなければ』いいのに。
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アリスはどこからか聞こえてきた声で目を覚ました。
頭に残る、高い声。
そのコウと名乗る人物は、手のひらサイズ。
ふわふわと浮いている。
まるで、妖精。
私はまた、夢を見ているんだ…
と、アリスは思った。
コウはアリスの耳元に近寄り、囁いた。
『物語の登場人物を、全員殺せばいいんです。』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。