そう言いながらも、
1番に教室を出るカイ。
確かに理科室は遠いけど、理科室でしか感じられない
あの薬品か何かの、独特な匂いが好きだ。
教科書をトンっと揃えて、
教室を後にしようとしたとき、廊下に挙動不審な影があった。
見ると、転校生「白野冬優華」の姿が。
初めての学校で、理科室の場所がわからないのも無理はない。
隣の席になった使命だと思い、
無口な白野の前で、口を動かした。
我ながら、無愛想な言い方だと後悔したけど、
白野は
嬉しいのか、申し訳なく思っているのか
ぎこちなく"はにかんで"
俺の背中を目印に、ついてきた。
From.Strawberry moon🌃
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!