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第1話

「 雨の日 」
5,983
2018/12/28 08:43
__ザーッ…
あなた

傘忘れた…

委員会で遅くなり、誰もいない靴箱の傘おきの前で立ち尽くす。
何で降水確率80%の時に限って傘を忘れたのか。
馬鹿だな、私、なんて笑うしかない。
このまま雨が止むのを待つか、どしゃ降りの雨の中、風邪を覚悟で走って帰るか…。
…雨が止むのを待とう…。
見たいテレビ録画すれば良かったー、なんて思いながらぼーっと外を見つめていると、見覚えのある大きな人影。
あなた

ミンギュ…?

隣のクラスで幼稚園からの幼馴染みのミンギュが、見慣れたジャージを着てこちらへ走ってくる。
あなた

え、ちょ…何して…

ミンギュ
バカ。傘忘れるとか
バカすぎ
そう言って寒さで真っ赤になった私の鼻をきゅっと摘む。
あなた

痛い

ふっ、と笑ってジャージの上に着ていた上着を私の上に被せる。

懐かしい匂いと、ちょっと大人の香水の香りがして、何だかミンギュがいつにも増して大人に見えた。
ミンギュ
帰るぞ
ミンギュの大きな黒い傘に2人で入る。
いわゆる相合い傘ってやつ。
あなた

なんで私が傘忘れたこと知ってるの?

ミンギュ
なんとなく。
あいつ忘れてるだろーなって思って。笑
あなた

で、わざわざ来てくれたの?

ミンギュ
…うん
少し照れてるミンギュが可愛くて、思わず頬が緩む。
さりげなく道路側を歩いてくれるし、私が濡れないように傘をほとんど私の方へ向けて左肩が濡れてるミンギュ。

昔から変わらない、

何気ない優しさに少しドキドキしてる自分がいる。






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