少しして本鈴が鳴った…チラホラいない生徒もいるがほとんど揃っている。そこに若草先生が教室のドアを開けて入ってきた
いつもの挨拶をした。生徒も挨拶をした。一部の所謂悪ガキは挨拶をしなかった…だが先生はそんなことも気にせずに出席の確認をした…このクラスは36人クラス、その内今日は3人ほど休んでいた…そして確認を終えたあと突然その話は始まった
その一言にクラスはざわついた。なんで辞めるのかと質問する生徒もいた…若草先生は答えなかった。しかし白城にはわかっていた、これは校長の圧力によるものだと…。そのまま若草先生は続けた
教室のドアがガラッと空いた…生徒はざわめいた…男子達は憧れの眼差しを…女子達はかっこいい人を見る眼差しをしていた…それもそうだ。教師に合わない黒いハットと黒いコートを纏った容姿端麗な男が教師としてきたのだから
その男はそう言いつつ黒板に自身の名前を書いた"くろき ゆう"…そういうらしい。女子達がキャーキャー言い出し教室がうるさくなった。若草先生はそれに注意をする…だが若草先生はそれだけ言ったあと黒木に一礼して教室から出てしまった…白城はあまりにも雑すぎはしないか…そう思った。黒木は続けた
教室は少しだけざわついた…黒木もそれは仕方ないかと思ったかそれに関して何も言わなかった…
白城には夢がなかった。毎日という現実から逃げたい…言うなら死を望んでいたのかもしれない。
5分が経った
半分ほど手を挙げた…白城は挙げなかった、夢がないからわからないのかもしれない
手をあがなかった生徒は頷いた。その上で黒木が何故そう思ったのか…その質問を生徒にぶつけた。選ばれたのはいつも白城を積極的にいじめているAだった
小学生らしい回答であった…黒木は続けた
白城も他の全員もすごい…ただその一言だけ思った…白城はこうも思った、本当にただの教師なのだろうか?純粋な教師なら教科の意味を打ち消すような発言をしないのではないか…そう思った。その時であった…チャイムがなった
そう言って黒木は教室を出ていった……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。