野北 牧は保険会社へ向かっていた…どうせあの刑事達には解決できない…と…そう鷹を括っていたからである…しかし、その刑事達が保険会社の前にいるとは…野北は思いもしなかった。
やぁどうも…野北さん。こんな所じゃなんですからあっちで話しましょうや
は…はぁ…
灰岐の案内で近くの人気のない公園についた一行…
話ってなんですか?全部話したはずですけど
全部?息をするように嘘をつくな…
…はぁ?
ズバリ言わせて貰おうか…今回の事件の死神……真犯人は…あんただよ
なっ…!?私が犯人!?
ええ
待ってください…そもそもあそこは密室じゃ…
そんなんじゃないんだよなぁ…あそこ、鍵が壊れていてね…
だから…じゃあ大家さんだって私と似たような証言をしてたじゃない…!
…俺はあんたに大家さんの証言の内容喋ってないんだがよ…
っ…!
まぁそいつはいいさ…俺は大家さんは嘘をついてないと思うぜ
はぁ!?矛盾してるじゃないの!そしたら私の証言だって…!
1つあるんだよなぁ…密室じゃない密室…それは……
それは…?
…"負圧"だ
!?!?
負圧ってなんすか…?
鍵がなくても密室のようにドアを動かなくできる現象だよ。やり方は簡単…ドアを閉めて換気扇を付けっぱなしにしとけばいいだけ
それだけですか?
ああ…建設会社の人間に知り合いがいるんだがな…扇風機みたいな羽根を使う換気扇で起きるらしい…仕組みは中の空気を吸い切ってペシャンコになったペットボトルらしい…
へ…へぇ
けど男だったらちからづくで開けられるんだよ。だから密室の証言者は女性である必要があった…
待って!?やり方はそれでいいかもしれないけど証拠は!?
あんたがやった証拠か?あるぞ?
えっ…
…あんた言ったよな?「あそこは密室じゃ…」…ってな。…俺はあんたがその事を喋るまであんたに対してはあそこは密室です…なんて言ってないんだけどな…
えっ…
ましてや大家さんにも言ってないぞ。俺の部下達が喋った可能性もない…だって…あんたらの取調べをやったのは俺だからな…
!!!!
俺達に取り調べをさせなかったのは…!
そういう事だ。それに…自殺だとも言わない…だって、不確かな情報教えたって仕方ねぇだろ?…捜査会議が終わる前に…俺がドアの異変に気がついたからな…!
………
あんたは…犯人しか分からないような情報を持ってるんだよ…
そ…んな…
野北は膝から崩れ落ちた…
…やれ
はい…野北 牧…あなたを殺人容疑で…
…
野北は無言のまま灰岐の部下にナイフを向けた
ちょっ!?
…
借金を抱え…男を騙して…最後は捕まり…こんな人生もう懲り懲り…せめて……1番最後くらい…
野北はナイフで手首を切ろうとした
やめろー!!
灰岐の部下が止めようとするも…間に合わなさそう…!…その時だった…1発の銃弾がナイフだけを正確に折った…
なっ…!?
えっ…!?
…ばーか、おせーんだよ。何もかもがな…。
無論銃を放ったのは灰岐警部である
死ぬのもおせぇ…借金を返すのもおせぇ…何もかもおせぇ…けどな…人生やり直すことだけはいつだって遅くねぇ。まだ若いあんたなら人生全然やり直せるぜ
う…う…
野北は…泣いていたという………
2日後、灰岐宅…
ゲホゲホ…べっくしょん!!…ああ…39度5分……お大事に…とか言ってた…奴が…インフルエンザ…って…な…情けねぇ…
その時、ポストに何かが投函されるのが聞こえた…
なん…だ?
なんとか外に出てポストを見た…ポストには事件を解決した灰岐を称える内容が記された黒木からの手紙と…袋に入ったラスクがあった…
へっ…ばーか…こんな時に持ってくるんじゃねぇ…おせぇんだよ…
そしてラスクを1枚齧った…
…硬い…でも美味い
名警部!?灰岐 豪 fin
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