私は絶対死なない!
いや、違うか…。
私は死ねない。
私が死んでしまったら、この世界はこんな残酷なことを繰り返し続けるだけ。
だから、例えユウトだろうと容赦しない。
『この剣に認められるにはどうしたらいいんだ?』
ユウトが突然聞いてきた。
『我は知らんな。だが、一つ教えよう!その剣に認められた者は未だに居ない。』
これは嘘ではない。
何百年も前から書かれきた日記に書いてあった。
剣に認めてもらう方法は私も知りたい。
『ならいい!寿命なんてどうでもいい!!俺はお前を今、殺したいんだ!』
うるさい!
私を殺すなんて無理だ。
『一分、経ったそれだけで全ての寿命が奪われる。それでも使うというのか?』
私はどれほど決心しているのか試した。
私はすぐにでもユウトを殺したい。
だけど、心が揺らぐのだ。
その理由は経った数分前の出来事のせいだ。
私はユウトを殺すことしか考えていなかった。
ユウトが居なくなると、どうなってしまうのか。
そんなの考えていなかった。
そんな時、先輩達の声が聞こえたんだ。
『藍ちゃん!落ち着いて!』
『俺達はいつでも藍ちゃんを見守ってる。藍ちゃんは俺達のためにそいつを殺すの?』
先輩達の為じゃない!
先輩達を殺されたからそれで、憎くて…
私は自分のために殺す!
『藍ちゃん、そんなことしたって憎しみは消えないよ。だから、止めて!』
『ユウトくんが居なくなれば、藍ちゃんを殺してくれる人、居なくなっちゃうよ?それでもいいの?』
それは嫌だ。
全てが終わった後は、死にたい…。
『俺は何も言わねえよ。藍の好きにしろよ。』
『そうだね。正しい選択を藍ちゃんは出来るもんね!』
『藍、一番伝えたいことを、今から話す。よく聞いていて。』
『何処にあるかは言えない。瓶に紫色の液体入っているもの、それを誰かに取られる前に見つけ欲しい。それを飲ませれば生き返らせることが出来る。ゾンビでも人間でも…。でもそれは、三本しかない。』
『場所のヒントはな、俺達で、いや部活のメンバーで最後に行った場所だ。』
『見つけたら、藍ちゃんが使いたい人に使ってね!私達はいいから!もっと大事な人が居るでしょ?』
『あーあ、そろそろ時間切れかぁ…。』
『藍ちゃん!さよなら、それとごめんね…』
『藍、じゃあな!』
それからは、先輩達の声は聞こえなくなった。
懐かしい声が聞けて私は嬉しかった。
でも、悲しくなった。
もう聞くことが出来ないかもと思ってしまったから…。
それに、最後の「ごめんね」の意味が分からない。
分からないけど、何か深い意味がある気がする。
三人しか生き返らせることが出来ないかぁ。
そんなの決めれないよ…。
これが数分前の出来事だ。
今の状況はユウトの返事を待っている。
『だったら、その一分に命をかける!』
一分で殺すことなんて出来ない。
俺はそう分かっていても、僅かな可能性にかけた。
なのに…藍は逃げた。
『我はそういうのは嫌いだ!今回は我が逃げたってことにしておこう!次は剣に認められてから我の前に現れろ!我は次のエリアに行く。ユウト!お前は間違った選択はするなよ!それと、これはその剣のケースだ。ケースの上からなら触っても問題は無い!』
私は剣のケースをユウトの方へ投げ、その場から消えた。
どれほど決心しているのかは分かった。
それを確認出来ればもういい。
部活のメンバーで最後に行った場所かぁ…。
何処だったけ…?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。