『早く起きなよ、藍』
その声で藍は起きた。
『命令するなよ、ロク』
起きた時、"藍本人の意識"は欠片一つも無かった。
『お目覚めだね、悪魔の藍。』
『藍って名前やなんだけど。』
『じゃあクロでどうかな?』
『ロクを反対にしただけだろ。まぁいいや。』
『クロねぇー。いい名前!』
『一つ言っておくけど、藍って言ったら殺すから』
『こわいこわい』
『じゃあ行ってくる』
『暴れておいでー!』
そうして藍は、いや、クロは"閉じ込められていた部屋"から出た。
階段を降りていると、前から誰かが歩いて来た。
『お前だれ?』
クロは一度止まってから聞いた。
『殺人ピエロですよ。忘れてないのに聞かないで下さい。魔王and殺人ピエロ討伐隊が増えてきています。このままでは、ゾンビが滅びますよ。』
殺人ピエロは焦っているようだった。
『そんなのどうでもいい』
クロはそう言うと、殺人ピエロの横をすれ違った。
『この世界に人間やゾンビなんていらない。』
クロは歩きながら呟いた。
それから階段を降りていくと、外が見えた。
クロは扉を開け、外へ出た。
クロはすぐに地上へ降りた。
『藍!』
クロの降りた場所にはユウトが居た。
『君がユウトか……。我はクロ!藍では無い!』
クロはそう言った後、悪魔のような笑顔になった。
『殺して欲しい奴は我の所に来るがいい!』
皆に聞こえるようにクロは言った。
そのせいか、魔王and殺人ピエロ討伐隊がクロの所へ徐々に集まって来た。
『身体訛ってし、丁度いいな。』
クロはそう呟くと上空へ移動した。
『藍!何してんだよ!』
ユウトが叫んだ。
それをクロは無視した。
『お前らは我がすぐに殺してやるさ!』
クロは宣言した。
『それは無い!死ぬのは貴様だ!』
魔王and殺人ピエロ討伐隊のリーダーらしき人が言った。
『その言葉、そのまま返すよ!我が死ぬこと、それは無い!』
クロはそう言うと、攻撃を開始した。
相手はユウトも入れて十六人。
『早く終わらせてやるよ』
クロはそう呟いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!