俺は戦っている途中に気づいた。
前よりも藍が強くなっていることに…。
このままじゃ、俺は負けるだろう。
でも、それが分かったところで何も俺は出来ない…。
これが俺の限界の力だ。
これ以上の力は出せない。
そもそも、俺はどうしてこんなことをやっているんだ?
俺は自分で自殺行為をしているのと同じだ…。
勝てるはずの相手に喧嘩を売って。
何をしているんだ、俺は!!
そもそも、俺があの時、藍の笑顔を見ていなかったら?
我慢出来ていたら?
アイツらを殺さなかったら?
そう、きっと、こんな状況にならなかった…。
それに、もしも俺が勝ったとしても、俺は本当に世界を救うことが出来るのか?
俺は突然、震え出した。
自分でも何でか分からない。
恐怖のせいか、自信が無いせいか…。
どっちにしろ、このままだと本当に殺されてしまう。
俺がそう思っていた時だ…!!
『何をしている!これは本当の殺し合いだぞ!油断するな!怯むな!我は相手が油断している隙に殺すつもりは無い…。つまらんからな。戦え!止まるな!我が憎いんだろ!それとも、あの言葉は嘘だったのか?全部嘘だったのか?あの覚悟も全部嘘か?ユウト!お前の目的は何だ?』
俺はその言葉を聞いて目が覚めた。
俺の目的、それは…
『違う!俺は嘘をつかない!俺はお前を殺して、この世界を終わらせる!それが俺の目的だ!もう迷わない!ここで宣言する!俺は、お前を殺す!今、ここで!』
もう俺は大丈夫だ。
俺は顔つきが変わった。
その時、藍が言った。
『その顔だ!では、こちらも宣言するとしよう!我もユウトを殺す!今、ここでだ!でも、その前にこれをやろう。我は不老不死だ。だが、これだけは、唯一我を殺す事が出来る剣だ。ただし、それを使うには、その剣に認めてもらわなければならない。それまでは、使えない。無理矢理使えば、寿命が削られていくだけだ。』
俺はそれを受け取った。
触れた瞬間、違和感があった。
触れただけでも、寿命がどんどん削られていくのだと気づいた。
俺は、何か言おうとしたが、藍を見た瞬間やめた…。
その時の藍は寂しそうで、でも、嬉しそうな感じだった。
それに、もう一つ感じた…。
誰かを強く恨んでいること。
その誰かを俺は知っている。
きっと…俺だ。
俺がアイツらを殺したから。
だからって、後悔しているわけじゃない。
まぁ、今はそんなことはどうでもいいんだ。
今の俺がやるべきことは、藍を殺すことだ。
必ず、殺すんだ!
その為に、俺は…剣に認められなきゃダメだ。
だから、今すぐにでも俺を、認めさせてやるんだ!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!