私は、今、空の上だ。
なぜ、そんなとこにいるのか?
それは、様子を見るためさ。
すぐにわかった。
日本は平和だ。
私は、ピエロを見た。
ピエロは頷いた。
私は、一度目を閉じ、日本の全国民に聞こえるようにしてから、喋った。
テレビ等は、使ってわない。
聞こえるように、ちょっとだけ工夫しただけさ。
『我は、藍。この世界を破壊に来た。どうやって、破壊するのかって?鬼ごっこさ。鬼は、殺人ピエロだ!信じてないだろ?まぁ、いい。後から分かるんだからな。五年前にもこんな事あったろ?覚えてるだろうな?忘れてるわけないよな?長話してすまんな。早く始めたいよなぁ?いいだろう。始めようじゃないか。我は、優しいからなぁ、十秒だけ逃げる時間をあげよう。ほら、逃げまくれ!十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、ぜーろ。さぁ、始まりだ!せいぜい、頑張りな。』
私は、そう言った。
もう、退散してもいいんだけど、少しだけ様子を見ていることに私はした。
恐怖で満ちた顔をな。
でも、まだ、状況が掴めてないのか。
なら、空の色も変えちゃおう。
私は、空の色を灰色に変えた。
私の時と同じだ。
そう、今度はね、学校だけじゃないよ。
日本全国が舞台さ。
広すぎると思ってるだろ?
でもな、楽勝なんだよ。
ピエロは優秀だから、瞬間移動が出来るんだ。
私も、出来るけどな。
いや、出来るようになったの方がいいか。
あーあ、一人、二人、三人、どんどん死んでいくな。
やっと、恐怖の顔が見れた。
『あははははっ!』
私は、高笑いをしだした。
自我が崩れそうだ。
私の中には、もう一人いるだろ。
たまに、そいつに飲み込まれそうになる。
だが、私は、負けない。
負けたら、もう本当に終わりだ。
お願いだ、私を消さないでくれ。
願っておいた。叶うことは無いと分かっていても。
『どうしますか?藍様。あいつら、ゾンビにしますか?』
いつの間にか、ピエロが横にいた。
『あー。それは、私がする。』
そのぐらい出来る。こんな私でも。
『分かりました。では、行ってまいります。』
ピエロは、頭を下げて消えた。
そんなことより、いつから居たんだ?
バレてないよな?不安になってきた。油断は出来ないってことか。
よし、死んだ人をゾンビにしに行くとするか。
私は、もう当分前に、たくさんの人を殺してるんだ。
ソンビにすることは、それよりはマシだ。
国民達は、許してくれないだろうけどね。
私は、薬品を死んだ人の口に入れて、ゾンビにした。
『ごめんね。』
そう言った。
『なぜ、謝るですか?』
ピエロが横にまた、居る。
『私は、言ってない。』
『そうですか。』
それ以上は問われなかった。
まるで、全部見られているようだ。
これからは、警戒しとこう。
そして、あんなことは、口に出さないようにしなきゃな。
私は、また、冷たい目になった。
『藍ちゃん!』
急に声がしたと思ったら、駄菓子屋のおばちゃんだ。
私は、駄菓子が好きで、ほぼ毎日通っていた。
『藍ちゃん五年も来てくれなかったわね。寂しかったわよ。』
近づきながら、言ってくる。
『近づくな!』
今の状況が分かってないのか?
『雰囲気変わったねえ。冷たい目をして…。何があったの?この五年の間に。』
心配してくれるのは、嬉しい。
私も、再会できて、嬉しいよ。
でも、何で今なんだよ!
今は、知らないふりしなきゃならない。
ごめんね、おばちゃん。
『死にたく無いなら、逃げるんだな。』
涙目になりながら、言った。
そして、私が去ろうとした時だった。
ピエロがおばちゃんを殺した。
また、殺人ピエロに私の大事な人を殺された。
また、殺人ピエロに…。
殺人ピエロは、全てが終わったら、絶対、殺してやる。
私は、涙を堪えた。
『そいつもゾンビにしとけ!私は、他の人のとこへ行く。』
私は、後ろ向きになり、立ち去った。
その時、目からは、暖かい透明なものが一粒だけ、流れ落ちた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。