第33話

意識
751
2019/01/05 10:49
「あなた」


あたしを呼ぶ声が聞こえる。


「あなた」


誰の声…?


分からない。


「恋は、怖いものじゃないよ」


「恐れないで」


「彼なら大丈夫」


どこにいるかも分からない。


目の前は真っ白だったけど、


そう言う声がただ聞こえた。





「ん…」


目を開けると知らない天井が見えた。


ここは…どこ…?


あたしは…


木材が上から落ちてきて…


ってことは、病院か…


よく生きてんじゃん…


そういや、あたしなんでここに…?


あぁ、そうか…


今回も陽向が運んでくれたのか…


そう思い、ベッドの隣を見る。


「あ、れ…?」


いないじゃん。


トイレか?


ガラガラ。


扉が開く。


陽向かと思ったらお母さんが入ってきた。


「あ…おかーさん…」


「あなた、目が覚めたのね!

良かったわぁ…!」


「おー…っ、イッテェ!!!」


手を上げようとしたら腕に激痛が走った。


見ると包帯が巻いてある。


「あー、右腕骨折してるから、あんまり動かさないでね」


「先言ってよ…」


ひ〜、めっちゃ痛い…


「あ、そーいや陽向は?」


長ぇトイレ。


まだ帰ってこないのか…


「あぁ…陽向くん…ね」


お母さんの表情が曇った。





「まだ…目を覚ましてないみたいよ。」


「…え?」

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