「あなた」
あたしを呼ぶ声が聞こえる。
「あなた」
誰の声…?
分からない。
「恋は、怖いものじゃないよ」
「恐れないで」
「彼なら大丈夫」
どこにいるかも分からない。
目の前は真っ白だったけど、
そう言う声がただ聞こえた。
「ん…」
目を開けると知らない天井が見えた。
ここは…どこ…?
あたしは…
木材が上から落ちてきて…
ってことは、病院か…
よく生きてんじゃん…
そういや、あたしなんでここに…?
あぁ、そうか…
今回も陽向が運んでくれたのか…
そう思い、ベッドの隣を見る。
「あ、れ…?」
いないじゃん。
トイレか?
ガラガラ。
扉が開く。
陽向かと思ったらお母さんが入ってきた。
「あ…おかーさん…」
「あなた、目が覚めたのね!
良かったわぁ…!」
「おー…っ、イッテェ!!!」
手を上げようとしたら腕に激痛が走った。
見ると包帯が巻いてある。
「あー、右腕骨折してるから、あんまり動かさないでね」
「先言ってよ…」
ひ〜、めっちゃ痛い…
「あ、そーいや陽向は?」
長ぇトイレ。
まだ帰ってこないのか…
「あぁ…陽向くん…ね」
お母さんの表情が曇った。
?
「まだ…目を覚ましてないみたいよ。」
「…え?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。