「お姫様抱っこぉ!?」
な、な!?
心臓の拍が急に早くなる。
「そーよぉ!
いきなり駆け込んできてね、『先生、あなたが!!』って焦った顔して言うから恋愛映画かと思ったわぁ」
いや、そこは映画とか考えてる場合じゃ…
てか…
お姫様抱っこって…
超恥ずかしいじゃん!!!
やべ、すんげぇ顔が熱い…
絶対熱のせいだけじゃねぇな…
「よーっす」
ドアを開けて入ってきたのは佐伯と康輔と陽向。
…この3人いつも一緒だな…
「あ、カバンね。
ありがとう。」
先生が佐伯からカバンを受け取ってあたしのベッドの近くまで持ってきてくれた。
「うっす。
花園起きてんじゃん。」
「お、おう…
あ、陽向、ありがとう…」
なんか、すごい照れくさい。
顔見れねーし…。
「あ?」
「先生から、ここまで運んでくれたの陽向だって聞いて…」
「あぁ…」
「ほんと、凄かったぜ?」
佐伯は先生の椅子に何気なく座りながら言う。
「花園がふらついたと思ったら地面に倒れる前に陽向が支えんだもん。
お前どこからでてきた!?みたいな」
笑いながら言う佐伯に、うっせ、と照れて返す陽向。
聞いてるあたしも当事者だから恥ずかしすぎる…
「そんでそのままお姫様抱っこだろ?
オレ一瞬王子様かと思ったわ。」
「王子様っ…」
思わず吹き出してしまう。
陽向に王子、似合わねぇー!
「笑うなっ
つかそんなに大爆笑出来んならバッグ持ってきてやるんじゃなかったなー…
教室に持って帰ろーぜ」
「わーやめろぉ、もう帰んだから!」
てか笑いすぎても頭いてぇ…
「じゃあオレたち3時限あるしもう行くわ。」
「おー、ありがとな。」
3人に礼を言ってまたベッドに横になる。
やば、熱上がってきたかも…。
完治したと思ったのにな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。