第7話

可愛いは得
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2018/12/25 12:45
「照れてねーし!」


「あ、中身はそのまんまだ」


ははっと康輔が笑う。


「ほっとけっ」


そうこぼしてササッと自分の席に戻った。


「あ、次の授業なんだっけ?」


と、隣をむく。


あれ?


陽向がいない。


まぁー、まだ始まるまでに3分あるからな、いなくても不思議じゃないか。


「なー、次って何?」


たまたま通りかかった佐伯に聞く。


佐伯さえき凌生りょうきも康輔と並ぶくらいゲームが好きで一緒にやることもしばしばあるゲーム仲間の1人。


あ、でもそーいえばコイツ、最近ゲームやってないとか言ってたっけ?


「えーっと、数学。

ってめっちゃ可愛くなったじゃん花園。」


「あー…サンキュ?」


なんか、可愛いって言われるのに若干慣れた…。


「なんで疑問形なんだよっ」


コツ、と頭を叩かれる。


「そーいや、教科書出るとこやった?」


「あ?」


なんだそりゃ。


「ははっ、やっぱ忘れてる。

まぁ、花園はそーゆーやつだよな。

この前先生言ってたじゃん、『今日授業の練習問題、次の授業の最初で当てるからなー』って。」


「げ、そーだっけ?」


「やべーじゃん?

あともう3分しかねーぞ」


ククッと笑いながら言う佐伯。


「やばい…どーしよ…」


サーっと血の気が無くなっていく。


数学の先生、めっちゃ怖いし厳しいし…苦手なんだよな…


目ぇつけられたくねぇ…。


「んー、じゃー可愛くお願いってやったら俺のノート写真撮らせてやる。」


「はーっ!?」


か、可愛く!?


んなもん出来るかぁ!


…ん?


ちょっと待てよ。


そんなことでノート見せてもらえるのか…?


いつもならコイツ、なにか奢れって言ってくるぞ。


それなのに今日は、お願いって言うだけ…


得だ!!

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