第22話

<第二章>-5
208
2018/11/30 05:32
その時、ポスターの横に貼られた沢山の写真群に気付いて、今度はそちらに注目する。
そこには、銀座の街や公園を写した美しい風景写真や、文化祭、水泳大会などの学校行事を楽しむ生徒達を写したスナップ写真、なぜか伊集院の自撮り写真も山のようにあったが、その他に、花や鳥など愛らしいものを写した写真などが、所狭しと並んでいた。
一方の杉本は、皆から顔を背けて、大きな独り言を呟いた。
杉本一
杉本一
この二人を部員にすれば、部費も増額し、ヌードモデルを頼む予算も捻出できるかもしれんしな
長谷川日向子
長谷川日向子
全部聞こえてるわよ、一ちゃん……
呆れた日向子が指摘するが、邪なオーラに包まれた杉本の耳には届かない。
アレク
アレク
やはり、行きましょう。ここは胡散臭い匂いがプンプンしてます
と不信感をあらわにしたアレクがテレサに告げた。
だが、すっかり写真に魅了されていたテレサは、微笑んで呟く。
テレサ
テレサ
素敵な写真
アレクも「?」と写真に目を向けると、伊集院が気付いて、嬉しそうに近付いてきた。
伊集院薫
伊集院薫
でしょ、でしょ? 全部俺たちが撮った写真なんだよ~。な、光良?
見ていた多田が「ああ」と相槌をうつ。
 そして、写真の説明を伊集院が始めた。
伊集院薫
伊集院薫
この、ちょ~格好いい俺が、俺ので、こっちが光良とピン先輩。あと、これが委員長のね
それによると、伊集院の写真は自撮りで、銀座の風景写真は多田、スナップ写真は杉本、可憐な花や鳥は、日向子の写真ということらしい。
すると、聞いていたアレクが眉間に軽く皺を寄せて、「?」と日向子を見た。
アレク
アレク
委員長……? 長谷川さん、あなたも部員なのですか?
日向子は少し赤面して、コクリと頷いて言った。
長谷川日向子
長谷川日向子
……部員が足りないと廃部になるからと頼まれて、仕方なく
杉本一
杉本一
僕も仕方なく頼んだだけだ
長谷川日向子
長谷川日向子
何その言い方……
杉本一
杉本一
事実を伝えたまでだ
結果、ムッとした杉本と日向子の間で、口喧嘩が始まってしまう。
テレサが驚いて、二人を心配そうに見ていると、安心させるように伊集院が笑って告げた。
伊集院薫
伊集院薫
あの二人、いつもあんな感じだから
そういうものなのか……、と不思議に思いながら頷いたテレサは、今度は、テーブルに置かれた写真を見て驚いた。
テレサ
テレサ
あれは……!

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