第19話

<第二章>-2
142
2018/11/22 05:42
そして放課後になったところで──と言っても、早帰りの日なのでまだ午後一時過ぎだったが──、彼女は教室で、テレサ達に声をかけた。
長谷川日向子
長谷川日向子
ワーグナーさん、マグリットさん
テレサ
テレサ
はい。えーと……?
長谷川日向子
長谷川日向子
委員長の長谷川日向子です
テレサ
テレサ
委員長の長谷川日向子さん
テレサがニコッと笑って会釈すると、日向子は生真面目に頷き返してから尋ねてくる。
長谷川日向子
長谷川日向子
お二人は、なんの部活に入るか、決めました?
テレサ
テレサ
部活? いえ……
長谷川日向子
長谷川日向子
もしよければ、これから見学しに行きませんか?
テレサが喜んで申し出を受けようと頷きかけるが、すかさずアレクが引き取っていた。
アレク
アレク
結構です。入るつもりはないので
テレサ
テレサ
そうなの、アレク?
アレク
アレク
そうなんですよ、テレサ
長谷川日向子
長谷川日向子
でも、うちの学校では、校則で全員、どこかの部活動に属さなければいけない決まりですけど……
日向子が戸惑いつつも委員長の務めとして伝えると、テレサはニコッとアレクを見る。
テレサ
テレサ
なら、私達も入らないと!
アレク
アレク
……わかりました
アレクが渋々了承したので、テレサは明るく頷き返してから、再び日向子に頭を下げる。
テレサ
テレサ
長谷川さん、よろしくお願いします!
アレクも小さく目礼すると、日向子はほっとしたように「じゃあ」と二人を連れ出した。
恋ノ星高校の歴史は古い。明治時代に創立されたということもあり、都心の中心部にありながらも敷地は広く、校舎や体育館、グラウンドなどの施設が比較的ゆったり造ってあった。
自由でのびのびした校風は、生徒の大半がエスカレーター式で系列の大学にそのまま進むからでもある。一方で『文武両道』をモットーとするので、部活動は熱心に行われていた。
そんな説明をしつつ、日向子は校内を案内していた。
テレサとアレクは、学校案内のパンフレットも広げつつ、楽しそうに話している。
テレサ
テレサ
バレーにバスケット。ソフトボール、水泳、演劇、美術……。色々あるのね!
長谷川日向子
長谷川日向子
ダンスや吹奏楽とか、どうですか?
テレサ
テレサ
そうね。でもせっかく日本に来たんだから、何か新しいことに挑戦してみたいわ
そう言ったテレサの瞳が、校門脇の桜の花を捉える。
それで、先日の将軍の城をふと思い出し、目をきらきらさせながら日向子に尋ねてみた。
テレサ
テレサ
サムライ部はないのですか!?
長谷川日向子
長谷川日向子
サムライ……?
返事に困った日向子を見て、アレクがすまなそうに頭を下げる。
アレク
アレク
すみません……
長谷川日向子
長谷川日向子
いえ……。では、次は、写真部にお連れします

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