涙が溢れる。
目の前に倒れていたのは紛れもない、暮斗だった。
血をダラダラと流し、私に覆い被さるように
倒れている。
私を、庇ったんだ。
そっと、暮斗の顔に近付く。
息を、していない。
私を突き飛ばして殺そうとした人は
後ずさりながら、そう言った。
日直の仕事を終え、私と暮斗を追いかけてきた
和人が、青ざめる。
ピーポーピーポー
救急車のサイレンが聞こえる。
誰かが、呼んでくれたのだろうか。
もう何も、聞きたくない。
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手術室の前。
私と和人は、暮斗の手術が終わるのを待っていた。
そっと、和人が何も言わずに私の頭を撫でる。
この時何故、和人が私の頭を撫でたのか
分からなかった。
手術室の“手術中”というランプが消えた。
それと同時に、医者が手術室から出てくる。
和人がそう言うと、医者は暗い顔をした。
数日後...
暮斗の病室。
私は、毎日ここに来ている。
けど、一度も暮斗が起きている所を見ない。
ただ、眠っている。
全部、女王のせいだ。
私をいじめてればよかったじゃん。
殺そうとしなければ、暮斗は助かった。
私に何の恨みがあるの?
私、何かした?
許さない。
絶対に、許さない。
復讐してやる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。