第10話

復讐
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2019/01/20 02:03
潮目 渚
ねぇ..暮斗...?
潮目 渚
起きて...?
潮目 渚
やだよ...?
涙が溢れる。
潮目 渚
私を置いて逝かないで...!





















目の前に倒れていたのは紛れもない、暮斗だった。

血をダラダラと流し、私に覆い被さるように
倒れている。


私を、庇ったんだ。


そっと、暮斗の顔に近付く。
























息を、していない。




















穂鷹 愛梨
あ、あんたがいけないのよ...!
穂鷹 愛梨
あんたが暮斗くんといるから...
私を突き飛ばして殺そうとした人は
後ずさりながら、そう言った。
桐島 和人
お..い...
桐島 和人
これ、どういうことだよ...
日直の仕事を終え、私と暮斗を追いかけてきた
和人が、青ざめる。





ピーポーピーポー




救急車のサイレンが聞こえる。

誰かが、呼んでくれたのだろうか。
























もう何も、聞きたくない。






















─────────────────────────────────





















手術室の前。

私と和人は、暮斗の手術が終わるのを待っていた。


そっと、和人が何も言わずに私の頭を撫でる。

この時何故、和人が私の頭を撫でたのか
分からなかった。




















手術室の“手術中”というランプが消えた。

それと同時に、医者が手術室から出てくる。
桐島 和人
先生...!暮斗は...
和人がそう言うと、医者は暗い顔をした。
医者
何とか、一命は取り止めました。
医者
ですが、まだ意識は戻らず危険な
状態です。
桐島 和人
そんな...
医者
我々も、最善を尽くします。
桐島 和人
はい...。





















数日後...






潮目 渚
はい。これ。
潮目 渚
いつものドーナッツ屋さんのだよ。
潮目 渚
だからさ、起きて食べよ?
潮目 渚
ねぇ...
暮斗の病室。

私は、毎日ここに来ている。


けど、一度も暮斗が起きている所を見ない。

ただ、眠っている。
































全部、女王のせいだ。
























私をいじめてればよかったじゃん。



殺そうとしなければ、暮斗は助かった。





















私に何の恨みがあるの?























私、何かした?






















許さない。


絶対に、許さない。






















復讐してやる。

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