第2話

昔話
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2019/01/06 04:40
潮目先生
あちゃー。結構痛いよ。これ。
桐島先生
よくここまで歩いたな。
桐島先生はそう言って私の頭を撫でた。

それで、何故か私は声を押し殺して泣いた。
伏見 由希
...
桐島先生
わっ!ちょ、泣くなよ...
桐島先生は慌てながらそう言った。
潮目先生
わー。生徒泣かしたー。
潮目先生はそう言っていたずらっぽく笑う。
桐島先生
ち、ちげぇし!
潮目先生
はいはい。それ、貸して。
潮目先生はそう言って、桐島先生が着ていた白衣を
私に「ふわり」と被せた。
伏見 由希
え...?
潮目先生
こうすれば、誰も見えない。
潮目先生
我慢しないで...?
潮目先生は、優しく、優しく、微笑んだ。



















その瞬間、私の大量の涙を止めていた
何かが壊れた。























本当は、怖かった。本当は、苦しかった。

先生が助けてくれたとき、小さな子供みたいに
泣きそうになった。


何で、この世にはスクールカーストというものが
あるのだろう。

なければ皆、幸せなのに。

楽しく学校生活ができたのに。


どうして、どうして、どうして...





















伏見 由希
私が、止められないかな...
涙が止まった頃、私はそんなことを口にしていた。
潮目先生
何を?
私が泣いてる間ずっと、優しく頭を撫でてくれた
潮目先生は、そう言って優しく微笑んだ。
伏見 由希
スクールカーストの制度。
伏見 由希
無理なんて分かってます。
伏見 由希
でも、私と同じ思いをしている人を
助けてあげたくて...
潮目先生
無理じゃないよ。
...え?
桐島先生
無理じゃねぇよ。
桐島先生
だって、実際にやり遂げたやつが
目の前にいるんだから。
え?どういうこと...?
桐島先生
ははっ。
「どういうこと?」って顔してる。
桐島先生はそう言って笑った。
潮目先生
じゃあ、1つ、昔話をしようか。
伏見 由希
昔話...?
潮目先生
うん。
潮目先生
私と、桐島先生の、昔話。
























潮目先生はそう言って、昔話を始めた。

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