僕はその場にしゃがみ込んだ。
此処は何処だか分からない。無我夢中で走った。
ぽろぽろと零れ落ちる涙を止める事は出来なかった。
もう僕はそらるさんが僕に向けてくれた笑顔や僕だけに見せてくれた色んな事だってもう僕は見れない。
僕じゃもうダメなんだ。
そらるさんは僕の事を忘れてしまったんだ。
もう僕は…
グイッ
どうやら僕は飛び降りようとしたみたいだった。
あとほんの数センチの所だった。
天月君は僕とそらるさんの為に走ってくれるなんて凄いな。
後ろを振り向かない天月君の背中を見ていた僕は徐々にスピードが緩くなってきた。
…僕は他人に迷惑を掛けてばかりだ。
天月君にも、そらるさんにも。
キキィィィッ…‼‼
僕が横を向いた時には車はすぐそこまで迫っていた。
ドンッ
僕の意識は朦朧としていて、天月君の声が少ししか聞こえない。
僕、迷惑かけてばっかりだな。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。